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□嫌がらせ
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今日は水族館の近くでお祭りがあった。

どうにか館長に外出許可を得た私は

久しぶりの外の世界に少し涙しながら

出店を回った。

『金魚すくいしたいなぁ〜…

水族館で金魚ってのもけっこういいかも』



…結局一匹もすくえなかったんだけど。




綿アメやかき氷。

焼きソバやチョコバナナも堪能して

もうお腹いっぱいだぁ〜…


どうせだから

皆にもお土産買ってこう!!



射的であてたキーホルダーカワイイから

マキちゃんにあげようかな。

ドーラクさんは何にしよう…綿アメ?

一角さんは…真面目だからオモチャとかは

怒られそうだからなぁ…

サカマタさんはチョコバナナ大丈夫かな…

カイゾウさんはたくさん買わないと

怒られそうだし…

フカはやっぱ肉?かなぁ…

館長は何も食べなそうだなぁ…

ぬいぐるみとか

…新鮮でいいかも(いろんな意味で)

残るは…デビかぁ…

どうしよう?




ふと目を向けると鼻をくすぐるいい匂い。

よし、コレに決めた!!





『皆、ただいま!』

「葉月!お祭り楽しかった?!」

『うん!皆にお土産もあるよ』

「何?!それはとてもいい心がけだ!」

「早く渡せっ!喰う!」

『ハイハイそんな急かさなくてもあげるって

はい!フカにはコレ!』

そして皆に順番に配っていく。

「葉月…おお俺は……な…な何だ?」

『デビにはねぇ…コレ!ジャーン!!!』

「ここコレは……?」

『たこ焼き!!すごく美味しいんだよ!』

そう言った瞬間

皆の顔が凍りついた。


「え…葉月、それ…」

『出来立てだから早く食べちゃって!』

「こりゃ見物だぜ。共食いか!ギシシッ」

「葉月殿…そんな人間だったとは」

「無自覚って罪だよねぇ…デビ、頑張れ」

『?皆どうしたの?…もしかしてデビ

たこ焼き嫌い?』

「葉月、デビルフィッシュの別名

なんだっけ?」

『デビルフィッシュ……オクトパス…

あぁああっ!!!!!!!!!!』

「葉月……ひひヒドイ…」

『ごめんなさい!!!!なんて酷なことを…

私は…』






それから約一週間。

デビは私と口をきいてくれませんでした。

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