短編

□赤黒い夕月に
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私の彼氏は立海テニス部二年エースの切原赤也。

付き合ったきっかけは赤也からの告白だった。

両想いだったなんて夢にも思わなかったから本当に嬉しかった…



一年先輩の私は帰宅部だったので受験勉強をしながら

赤也の部活が終わるのを待っているのが日課になっている。



今日も図書室で勉強をしていた。






一番後ろの席からの窓はテニスコートが見える。

ひそかに赤也が頑張っているところを眺めるのがお気に入り。


なんて恥ずかしくて本人には言えないけれど…















『……赤也遅いなぁ…』


もういつもなら部活は終わってるはずなのに…


「ねぇ、誰か待ってるの?」

『え…?』


声をかけられた方を見ると男子生徒が一人立っていた。


「暇ならちょっと付き合わない?俺葉月ちゃんの事気になっててさぁ…お願い!」



まただ……


何でだろう?

前にも赤也が少し遅れたときにこうして知らない人に声をかけられた。


『…待っている人がいるから無理です』

「えー何?彼氏??こんな時間まで彼女待たせるとか最低でしょ。俺にしといた方がいいって」



「俺の彼女に手ェ出すんじゃねぇよ!!」

『赤也!!』

「はぁ?…お前彼氏?」

「っるせぇ。潰すぞアンタ」


そう言った赤也の目は殺気に満ちていて…相手が怯んでいるすきに私の手首を握りその場を後にした。


「すいません…葉月先輩。俺がもっと早く着いていれば…」

『大丈夫…何もされてないし』

「俺が大丈夫じゃないんッスよ!!!先輩は少し無防備すぎるから…」


『赤也……ごめんなさい』


そう言った私の顔を見て赤也は優しく微笑んだ。


「でももう大丈夫………葉月先輩は俺だけのものになれる」


『赤也?』


「先輩……俺の事好き?」


『うん…好きだよ』

「愛してる?」

『うん……赤也…今日変だよ?』








「嬉しいからッスよ………これからはその瞳も顔も体も心も………





全部




全部が俺だけの俺の為だけのものに…」



『赤…也?』












その狂気に満ちた瞳で私を見つめる貴方は




少しずつ夕日が傾く中で



私を抱き寄せこう言う。




「愛してますよ……殺したくなるぐらい」









end

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