短編
□君の瞳に射抜かれて
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氷帝学園テニス部のマネージャーである私は部員が帰った後も
せっせと今日のメニューなどをまとめていた。
そのついでに跡部から命じられた仕事。
「葉月っ!帰る前にジローの奴を起こして帰れ!」
『…ぅえぇ〜…?』
「…アーン?この俺様の頼みが聞けねえってのか?」
『頼みってより命令だよ…はぁ…分かった』
別にただ起こすだけなら何でもない。
でも今の部室は私とジロー以外誰もいない。
実は私、少しジローが苦手なのだ。
寝ているだけかと思ったら
急に覚醒したりするもんだから
その時の目に見つめられると
なんだか全てが見透かされているような感じがして…とても怖くなる。
とはいえ
本人は別になんも思っていないだろうから
私さえそれを直せば何てことはないのだが…
『よし!終わった…』
ついに来てしまった…この時が…
『……ふぅ…ジロー…起きて〜』
ジローの肩を揺すっても全く起きる気配がない。
『ジロー!早く起きないとイタズラするよ!』
「…ん――…あほべ―ー……あと五時間」
『変なこと言ってないで!!はぁ…』