☆ナギ☆

□very lucky person
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「ありがとよ」


酒を受け取り、占の料金を払って
俺は再び街を歩いた




「あんたのラッキーカラーは黒だね」




最後に婆さんはそう言った



いつも黒い物を身に着けるといいらしい

婆さんの戯言だと、普段ならすぐ
忘れるんだが・・・



無性に気になって
その言葉が頭の片隅に残る



街を端から端まで歩き終わると、両手が食材で目いっぱい塞がってしまった



しまった。ハヤテかトワでも
連れてくりゃあよかった。





ニャーン




「猫?」




意識を両手に集中させていると、
いつの間に近寄ってきたのか
黒猫が俺の足に顔を擦りつけている



(動けん・・・)




ゴロゴロ、と喉を鳴らすその猫を見ていると、聞きなれた声が俺を呼んだ





「ナギさーん!!」


「トワ」


「凄い荷物ですね。僕、もう用事終わりましたから、これ船に運びますよ」


「ああ。助かる」




ラッキーだ。
これでもう一度買い出しが出来る




ドサ!とトワに荷物を渡すと
先ほどの猫を想いだし足元を見た




「いない・・・」


「どうしたんですか?」


「いや・・・」




トワは器用に荷物を抱えると、
あっと言う間に人の中に消えて行った




「助かったな・・・」




再び街に繰り出すと、
すぐに両手はいっぱいになった




「そろそろ帰るか・・・」




ちら、と先ほど老婆が居た路地に
目をやるが、老婆の姿はもう消えていた




「ラッキーカラーねぇ・・・」




視線をもとに戻すと、先ほど
通った時には無かった店が目に入る


「布?」

「いらっしゃい!兄さん凄い荷物だね」




笑いながら俺に声をかけてくる商人




頭には黒色のバンダナ、前掛けに
同じ色のエプロンをつけている



聞いてもいないのに、おすすめの商品だ!と目の前に差し出された黒






「バンダナ?」




「おう!兄さんどうだい?
これを頭に巻けば男前度アップ間違い無しだよ!」




自分の頭を指さしながら、そいつはニカッ!と笑った



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