☆ソウシ☆
□a master(後編)
1ページ/4ページ
「どいてくれ」
人だかりをかき分けて騒動の元へ駆け寄るシルク
視線の先には倒れた客の男
シルク
「何が起きた?」
連れの男が動揺しながらかろうじて唇を動かす
男
「わっ・・・わからねえ!立ち上がった途端突然倒れて・・・」
シルクは脈を取り、心音・呼吸を確かめる
ソウシが現場に着くとシルクはソウシに言い放つ
シルク
「ソウシ。そこ、持て」
ソウシはシルクに指示されるままに動く
シルクが握り拳を作り、それを思い切り男の胸部へ振り下ろした
ドン!と男の体が跳ねたかと思うと、「かふっ」と男が息を吹き返す
大量の水を飲ませ、その場に吐き出させた
ソウシもそれを手伝う
シルク
「ここで出来る処置はこれだけだ。キチンとした設備のある所へ運べ」
店員にそういうとシルクは連れの男に言い放つ
地面に座り込んだ男の顔の真ん前に、ズイ、とその静かに冷えた眼を置いた
どこか、男を威圧するように。
シルク
「お前。何を仕込んだ?」
男
「な・・・なんのことだ?」
シルク
「とぼけるな。あの症状は毒を盛られた時にでる症例なんだよ」
決して声を張り上げず、静かに怒るその様は、まるでソウシのようだ
○○○は、ソウシの後ろでシルクを見てそう思った
男が焦りの表情を浮かべながら、シルクを見る
額には汗が浮かんでいた
男
「おっ・・・俺じゃない!」
シルク
「お前しかいないだろう」
冷静な口調が、男を追い詰める
きっかけはなんだったのだろう
男は急にシルクにとびかかり彼女に殴り掛かった
○○○
「危ない!!」
○○○がそう叫んだ瞬間、男の体が宙に浮き床に転がる
うつ伏せになった男の上に乗りかかり、シルクは表情を変えずに、男の腕を折った
バキン!
鈍い音が、店内に響く
シルク
「言い訳は、するべきところでしてくれ」
冷たく光るシルクの瞳
店内がシン、と静まり返り男のうめき声が聞こえる
バタン!と忙しく扉が開くと、誰が呼んだのか、迎えの馬車がやってきた
バタバタと男を運ぶと事態は収拾を迎え、店は閉店となった
一同は店を出ると、シリウスへ戻るため足並みを揃えて歩き出す
リュウガ
「本当にこないのか?」
シルク
「あんたも諦めが悪いな」
ソウシの師匠、シルクはため息交じりに笑いながらリュウガの誘いを断った
シルク
「私は宿に帰るよ。可愛い教え子の成長した姿も見られたし」
その濁りのない瞳がソウシを捕えた
ソウシ
「師匠・・・」
シルクは手招きしながらソウシを傍に呼ぶ
ポンと肩に手をやり、軽くソウシを抱きしめた
シルク
「立派な大人になったな。ソウシ。お前を誇りに思うよ」
ソウシ
「!!」
不意に、ソウシは泣きそうになった