☆ソウシ☆

□a master(後編)
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「どいてくれ」


人だかりをかき分けて騒動の元へ駆け寄るシルク

視線の先には倒れた客の男




シルク
「何が起きた?」


連れの男が動揺しながらかろうじて唇を動かす





「わっ・・・わからねえ!立ち上がった途端突然倒れて・・・」




シルクは脈を取り、心音・呼吸を確かめる

ソウシが現場に着くとシルクはソウシに言い放つ



シルク
「ソウシ。そこ、持て」



ソウシはシルクに指示されるままに動く


シルクが握り拳を作り、それを思い切り男の胸部へ振り下ろした


ドン!と男の体が跳ねたかと思うと、「かふっ」と男が息を吹き返す

大量の水を飲ませ、その場に吐き出させた

ソウシもそれを手伝う




シルク
「ここで出来る処置はこれだけだ。キチンとした設備のある所へ運べ」




店員にそういうとシルクは連れの男に言い放つ

地面に座り込んだ男の顔の真ん前に、ズイ、とその静かに冷えた眼を置いた



どこか、男を威圧するように。






シルク
「お前。何を仕込んだ?」


「な・・・なんのことだ?」

シルク
「とぼけるな。あの症状は毒を盛られた時にでる症例なんだよ」





決して声を張り上げず、静かに怒るその様は、まるでソウシのようだ


○○○は、ソウシの後ろでシルクを見てそう思った

男が焦りの表情を浮かべながら、シルクを見る

額には汗が浮かんでいた







「おっ・・・俺じゃない!」



シルク
「お前しかいないだろう」






冷静な口調が、男を追い詰める


きっかけはなんだったのだろう

男は急にシルクにとびかかり彼女に殴り掛かった





○○○
「危ない!!」



○○○がそう叫んだ瞬間、男の体が宙に浮き床に転がる



うつ伏せになった男の上に乗りかかり、シルクは表情を変えずに、男の腕を折った





バキン!





鈍い音が、店内に響く






シルク
「言い訳は、するべきところでしてくれ」





冷たく光るシルクの瞳



店内がシン、と静まり返り男のうめき声が聞こえる



バタン!と忙しく扉が開くと、誰が呼んだのか、迎えの馬車がやってきた



バタバタと男を運ぶと事態は収拾を迎え、店は閉店となった












一同は店を出ると、シリウスへ戻るため足並みを揃えて歩き出す



リュウガ
「本当にこないのか?」

シルク
「あんたも諦めが悪いな」




ソウシの師匠、シルクはため息交じりに笑いながらリュウガの誘いを断った





シルク
「私は宿に帰るよ。可愛い教え子の成長した姿も見られたし」




その濁りのない瞳がソウシを捕えた





ソウシ
「師匠・・・」




シルクは手招きしながらソウシを傍に呼ぶ

ポンと肩に手をやり、軽くソウシを抱きしめた






シルク
「立派な大人になったな。ソウシ。お前を誇りに思うよ」

ソウシ
「!!」



不意に、ソウシは泣きそうになった



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