☆ナギ☆
□the eternal triangle
1ページ/1ページ
いつからだったろう・・・
○○○の事気になり始めたの・・・
ナギは一人甲板に佇む
月を写した海がゆらゆらと揺れていた
置いてある木箱に腰を下ろし
マストの柱にもたれながら
ふう。とタメ息を漏らす
(○○○がいつも無邪気に笑うから・・・)
笑っている顔をみると心が和んだ
柄にもなく優しい気持ちになれた
いつの間にか○○○の顔ばっかり見てた
両手で拳をつくり額にソレを置きながら
視線を落とす
(でも・・・○○○を笑わせてるのはシンだった)
(何でアイツと同室にならなかったんだろう)
今更そんな事を思って
どうなるというのだろう
そんな自分の思いを滑稽に思いながら
ナギは立ち上がり食堂へ向かう
シンと○○○は今朝シンの母親の墓に向かった
戻って来た時
再び旅を共にするかわからない
ナギは厨房のドアを開け
積まれたジャガイモを掴み皮を向く
(・・・シンと出会ったのはいつだったか)
自分が船の一員になる時には
シンはもうシリウスの航海士だった
歳が近いというのもあってか
ナギとシンはよく一緒にいた
ポーカーやチェス等賭け事もよく勝負をしたものだ
家族のいないナギにとっては
船の皆が家族のようなものだった
「大切な物を二つも失うのは・・・少し辛いな」
するすると皮を剥きながら
淡々と作業を進める
シンと○○○が宝の手がかりを探しに
氷の島に降りた時
本当は俺が○○○を守りたかった
無言でシンを見つめた
(必ず守れ。無事に戻ってこい)
心の奥で強くそう思った
シンは鋭い
俺の視線の意味を理解したみたいだった
食堂で言い争いになった時も
シンは一歩も譲らなかった
あんな風にシンと言い争ったのは
あれが初めてだった
○○○・・・
人を愛するというのはこういう事なのか・・・と自分の中に生まれた感情を認識する
カタン。と包丁を置き
綺麗に剥かれたジャガイモを水につけ
下ごしらえを終えたナギは自室へ戻った
シャワーをあびて髪を拭きながらベッドに腰掛ける
考えた事があった
もしアイツがシンじゃなく俺を選んだら・・・
「俺にしとけよ・・・」
その一言を告げればどうなっていたんだろう
(だけど・・・)
もしシンとの事で悩んでたアイツが
俺のところにきたとしても
俺はそんな○○○をずっと好きでいられただろうか?
自分が決めた事を曲げない
芯の折れない○○○が
俺は好きだったんじゃないか
そう思った
湧き上る思いに耐えられなくなってアイツを思いながら自分を慰めた事もあった
虚無感が生まれ空しさに苛まれた
どうにもならないんだ・・・
○○○が一番幸せそうに笑うのは
シンの隣にいる時だから・・・
ナギはゴロンとベッドに体を預け
大きく深呼吸して天を仰いだ
シンと出会ってアイツと出会って
過ごしてきたシリウスでの日々を思い出す
そのどれもが大切で
かけがいのないものだったんだと強く思う
(そんな事に気づけてよかった・・・)
頭の中を整理しながらナギはそっと二人に出会えた事実に感謝した
(もし・・・再び二人が船に戻ってきたら・・・)
目を閉じ眠りにつきながらナギは思った
(大好物を料理してやろう・・・)
暗闇が優しくナギを包んだ・・・
****fin***