☆シン☆
□ rubeus(中編)
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ナギ
「○○○、その恰好・・・」
○○○
「あ・・・これは・・・」
吸血鬼は女好き、と、聞いた○○○はトワのアイディアで男装することになった
○○○
「帽子が無くて・・・ナギさん、バンダナ貸してもらえませんか?」
ナギは自分の頭に巻かれていたバンダナを外し、○○○に手渡す
ナギ
「ほら」
ナギからバンダナを受け取ろうと○○○が立ち上がると
チャプ、と、船が揺れ体制を崩した
○○○
「きゃっ・・・!」
ナギ
「っぶね!!」
ドサ!と○○○の体はナギに抱かれる様に崩れ落ちた
○○○
「っす・・・すいませ・・・」
シン
「○○○、とっとと立て」
○○○
「っは、はい!」
慌ててナギから離れると気まずそうに○○○は俯き、バンダナを頭に結ぶ
○○○
(し・・・しまった・・・早速ドジっちゃった・・・)
ナギの頬が少し赤く染まっていたのを、シンは見逃さない
シン
(ちっ・・・こんな事で嫉妬するなんて、どうかしてる・・・)
少し乱暴にボートを漕ぐと、その苛立ちがナギに伝わったのか微妙な雰囲気が船に流れた
ドォン・・・
ボートは静かに岸に着く
古城まで歩くと三人の目の前に大きな扉が飛び込んできた
○○○
「うわぁ・・・」
シン
「でかいな」
ナギ
「押してみるか・・・」
3人で力任せに巨大な扉を押すと、鈍い音をさせながらゆっくりと扉が開く
中に入ると、うっそうと茂るツタが城の壁に張り付き、廃城独特の雰囲気が流れていた
○○○
(うわ・・・)
シン
「誰もいないのか・・・」
三人がクルリ、と、場内の庭を見渡す
???
「誰だ!?」
ハッと一同は声のする方を見た
金髪に眼鏡の青年・・・と言うより少し大人びた表情をした男が立っていた
紫のスカーフが色白の肌によく映えている
不審な目を一同に向けながら、彼は感情の籠らない口調で話し始めた
???
「勝手に城内に侵入するとは・・・無礼極まりないな」
シン
「これは失礼した。てっきり誰も住んでいないのかと・・・」
シンは咄嗟にボートが流され、この島に来た
誰かいないかと人を探してこの城にたどり着いた、と説明した
ふん、と眼鏡の男は気にくわぬ顔を崩さぬまま一味を城内へ案内する
「私の名は宇佐美。この城にはキチンとした主がいる」
宇佐美、と、名乗るその男は淡々と説明を始める
宇佐美
「私はこの城の執事。どのような形であれ、客人は客人だ。客人は丁重に扱う、というのが主の信条なので」
どうぞ、と、案内されたのは城の応接室
すぐに宇佐美によって暖かいホットティー・茶菓子が用意された