☆シン☆

□出会い
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今夜は満月

シリウスでは宴が始まる



甲板に置かれた木箱の上に
ナギの作った料理が並べられ

皆それを囲むようにして杯をかわす



退屈な海の上での至福の一時

ハヤテは自分の前に置かれた皿の料理を平らげ
酒を煽っていた

そんなハヤテを見ながらシンは
仲間と過ごすこの時間に酔っていた


ナギ
「ったく。ハヤテ!お前ペース早すぎなんだよ」


空になりかけたタルを傾けながら
ナギは渡されたグラスを一杯にした


ハヤテ
「へへへ。いいじゃねえかナギ兄!!久しぶりの宴なんだ!ヤマトで食料の補給もできたし今日ぐらいいいだろ!!」


ニカッと笑いながら
ハヤテはナギからグラスを受け取る


ナギ
「しょうがねえな。トワ!倉庫から酒取ってこい!!」

トワ
「はい!」


そんなやり取りを見ながら
シンは自分に注がれたグラスを手で回し
ふと思った


この船に乗って長い時間が過ぎた

気のいい仲間にも恵まれた

港に寄れば女にも不自由しない

だが・・・


シン
「何か足りない・・・か・・」

航海士として船に必要とされている
旅の目的もある


何が足りないのかは
自分でもわからなかった

シン
「愚問だったな」


独り言の様に呟くと自分のグラスが
何時の間にか空になっている事に気づく

シン
「ナギ。酒はまだか?」


ナギが遅いトワを呼びにいった


ハヤテ
「シン!今日酒場で倒した相手の数は俺のが上だろ!!今日こそ俺の勝ちだな!!」


ハヤテがニヤニヤしながら俺に話す

シン
「はっ。今まで倒した敵の数と合わせて考えろ。今日までどれだけ差が開いてるとおもっているんだ」

ハヤテ
「なんだよ!素直に負けを認めろよ!!」



ハヤテが絡んでくる

いつもの日常
それがとても滑稽に思えた



ナギとトワが酒樽を持ってくる


ナギ
「なんだ?またシンに絡んでんのか」


トワ
「ハヤテさんはシンさんが大好きですね」

ハヤテ
「ばっ!!そんなんじゃねーよ!!」


一斉に笑いが起こると後ろからドクターの声が聞こえた

ソウシ
「皆ちょっといいかな?」



この時まだ俺は
自分の抱える渇きを
ドクターの連れてきたその女が
満たすことになるとは
夢にも思わなかった


**fin***




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