鏡ちゃんと先生

□鏡ちゃんと先生.10
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理沙子side


ゴロゴロ…

雷が鳴っている。雷は昔から苦手だ。だから日曜日だというのにこんなに朝早く起きてしまったのだ。憂鬱だなぁ…。

花にでもメールしてみようかな。
少しは気を紛らわせれるかもしれない。
私は黒いケータイを手に取り花にメールを送った。
”起きてる?”
送信してから数分後に返信が来た。
”眠い”
花のメールはいつも短文。おまけに絵文字、点や丸さえない男の人とメールしている気分だ。

”今日ひま?”
今度は返信がすぐ来た。
”暇なら暇人紹介するわよ”
暇人を紹介されても…初対面の人と一緒にいても気もまぎれないし、ましてや雷が苦手なんです。とか弱みを見せているみたいでいやだ。

”わたしの知ってる人?”

”そうよ”

花が紹介してくれるという暇人は私も知っている人らしい。…誰かしら?


数十分、私は部屋の中でびくびくしていた。テレビも電気も付けているのに不安でたまらなかった。

インターホンが鳴る。
それは花が来たことを告げるものだった。

『…花?』

「…どうしたのよ、珍しくしおらしい声出しちゃって」

ドアの向こうで花が私の声にこたえてくれる。…内容はこの際気にしない方向でいこう。

私はドアを開けた。
そしてそこに立っている人物を見て唖然とした。
そこには花と藤咲が立っていた。びっくりした。というか前にもこんなことあったような…

しかしびっくりするのもつかの間、私は藤咲を見てすごく眠そうでかつ不機嫌そうなことに気が付いた。
…もしかすると花に無理やり起こされたんだろうか。…これは巡り巡って私のせいになるのかな…

「はい、これ。」

花は藤咲を玄関に放り入れると踵を返して帰って行った。

『お、おはよう。』

「うん」

藤咲の目は閉じかけている。そして気まずい。会話は続かないし、もはやかみ合っているのかもわからないし。

「…先生、ふとんかして」

眠さがピークに達したのか藤咲は開いているのか開いていないのかもわからない目をして部屋の中に上り込んだ。
そして慣れたように私の寝室のドアをあける。

『ちょ、ちょっと、藤咲!』

「…?」

藤咲は眠さでフラフラと揺れていた。それがなんだか可愛くて笑ってしまった。
しかし私が笑ったことで用事が済んだと思ったのか藤咲は部屋に入って行ってしまった。
私は急いであとを追う。

部屋に入ると藤咲はベッドに入り込もうとしている時で、一足遅かった。私は止めることもできず藤咲の行動を呆然と見ていた。

そして数分と立たないうちに藤咲の寝息が聞こえてきた。
なんだかものすごい気分になったが私のせいで花に起こされてしまった藤咲に申し訳ないと思いそのままにしておくことにした。





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