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□第1話 暗黙の了解
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「だぁーっ!!思うように描けねぇ…」

日曜の昼下がり、外はカラッと晴れた日だった。
俺は椅子に座ったまま大きく伸びる。



「ちょっとサイコー、マジかよ…折角お前が集中出来るようにアシ皆帰したのに。」

シュージンが頭を掻きながら困った顔を見せた。
俺はこの表情が存外嫌いでない。

「悪いな…なんか最近調子悪くってさー。まあ締め切りは守るから安心しろよ。」


「ったく…じゃあ少し休むか、コーヒーでいい?俺淹れるよ。」

「いつも悪いな、さんきゅ。」

シュージンがソファーから重い腰を浮かせた。




(なんとなく静かだと思ったら、そういや見吉がいない。)

「シュージン、そういや今日見吉はー?」

俺はふと思ったことを口に出した。
最近何故かモヤモヤする、ところが今日はそのモヤモヤがない…


「友達と買い物だってさー」


指にコーヒーを掛けたらしく、シュージンがビクッとしたのが可笑しかった。



「そっか…」

(だから今日はモヤモヤがないのだろうか…?)


「ほい、コーヒー。」


「おお、さんきゅ。」

(…あれ、俺の分だけ?)

少し疑問に思ったが、気にせずシュージンからマグカップを受け取った。


「しっかし1人いないだけでこんなに平和とはなー(笑)」

シュージンがソファー、俺の横に腰を下ろした。


「お前それでも彼氏かよ!」

思わずツッこんだ俺にシュージンはケラケラと笑う。



真面目な顔になってシュージンが口を開いた。

「サイコー、コーヒーちょーだい。」


 
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