お題
□この恋、きみ色
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「グーリーンー」
「んだようるせぇ!」
「ねぇ遊ぼー」
めっちゃ暇なんだけど。なんてほざく目の前の女をしばいてもいいだろうか。や、いいよね。ダメな訳ないよね!
「ちょ、なんで拳握ってんの!意味分かんないんだけ、ったい!!」
「はっ」
握った拳をそのまま振り下ろしてやった。相手が女であろうが有言実行。俺、素敵。
「っとにグリーン最低!グリーンの鬼畜!!」
涙目で頭を押さえながら喚いているがんなの知らねえ。大体、ここジムだぞ。トキワジム!もう少し場所をわきまえて欲しい。
「くっそー…もう今日は帰る」
「おー帰れ帰れ」
立ち上がり足を進めるアイツの背中をしっしっ、と手であしらってやる。
「?」
出口の直前でいきなり立ち止まる。一体なんなんだ。早く帰れよ。
「またね、グリーン」
くるっとこちらを向き、そう言った表情は先程とは打って変わってとても良い笑顔で。
「またね、ってお前…」
手を振り出ていくアイツの背中を見送る。
じゃぁね、ではなくまたね、と言った辺り明日も来るつもりなんだろう。現にジムが休みの日以外は毎日来てるし。
「ったく」
どうせ明日もジムにはアイツ以外誰も来ないだろう。
「菓子でも用意してやるかな」
仕方ない。たまには優しくしてやるか。
悔しいが、俺も何だかんだでお前が来るのを楽しみにしてるんだから。
「俺も変わったな」
案外、場をわきまえるのはアイツではなくてジムリーダーである俺の方かもしれない。
この恋、きみ色
でもアイツのせいで変わるのならば、悪い気はしない。
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11.01.01