*お題小説*

□誰か、あの可愛いの取り押さえてくれ
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お互いを下の名前で呼ぶのに違和感を感じなくなった頃。

手塚は廊下を歩いていた。

後ろから小刻みな足音が近づいてくる。

「光っ!!」
「ん?」

手塚が振り返ると、世界で一番愛しい柴崎の姿。

ここは図書館の廊下。人気は少なく少し薄暗い。

「珍しいな、どうした」
「うん、ちょっと」

壁にもたれ掛かる柴崎は、手塚を手招きする。

何かないしょ話でも、と近づくと――


ちゅ


ネクタイを引っ張られ、軽いキス。

「なっおまっ!!」
「大丈夫よ、人いないから」

そういう問題か?


ふと柴崎を見る。頬が微かに赤い。

「じゃ、それだけ」
立ち去ろうとする彼女の細い手首を軽く掴み、引き寄せる。


――あの時みたいだな。


付き合う前の3回のキスを思い出す。

「やり逃げか?」
「…そうよ、悪い?」

意地っ張りな君は、とても可愛くて。

頬が赤いのに気づいてないのだろうか。


ふ、と微笑み先ほどのとは違う、甘く深いキスを落とした。




「で、用事は?」
「…ないわよ」
「え、」

じゃあ本当に

「したいと思ったからしただけよ!」

真っ赤な顔で言い早足で立ち去った。


ああもう
誰か、あの可愛いの取り押さえてくれ




fin




初お題小説です(^^)

いかがでしょうか?

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