猫のかつろ。

□第4訓 猫の昔話
1ページ/16ページ








時は前回から引き継ぎ、時刻は22時。

一息グズグズになり終えた由羅は銀時の上に跨ったまま言葉を選んでいた。


銀「言いたくねぇ事は言わねえでいいから、お前らに何があったか話せよ」

由羅「...ん、」


ーーーーー






*猫の昔話*








紫(シイバ)と出会ったのは乱猫(ランマオ)が攘夷戦争へ駆り出される少し前、地球へ向かう船の中だった。

お互いボロボロで抵抗したのは一目みてお互いすぐに分かった。
小さかった俺たちは幼いながらに仲間意識を感じ、天人の助太刀をするために駆り出されたものの船の中で「天人なんて」と意気投合した。


由羅「...なぁ、紫は地球人に恨みとかあるか?」

紫「ねぇ。興味すらねぇ。あんな忌み嫌われて閉鎖された星に関わりすらねぇだろ」

凶暴かつ、力をもてあますが他の星に関わりなんてもたなかった。
だが閉鎖体空間で、仲間意識はそれなりに強い種族だった。

だが他の星からやってした天人たちは私欲のために俺たち二人を無理やり引っ張ってきた。

そうか、そうなら憎い天人なんぞの肩を持つ必要はあるのか...?
家族も星で生きてる。
天人達は俺たちの種族が増えすぎると憎しみを買い、手に負えないことを踏んで俺達みたいなまだ餓鬼の二人を手っ取り早く連れてきたんだ。

家族は生きているが抵抗した奴が何人か殺されたのは目の前で見た。

殺すとするなら、何の恨みもない地球人なんかより天人を殺したい。
そう思うのに理由はしっかり揃っていた。


由羅「あいつらは俺らを舐めすぎてるだろ。俺達二人で反逆しようぜ」







ーーーーーー



由羅「が、俺達が出会った頃」

銀「んな小せぇ頃から仲良かったのか」

由羅「仲良いっつぅか、仲間が紫しかいなかったって感じかな」


苦笑いを浮かべると銀時はまた俺の話を待ってくれた。



ーーーーーー



戦場を駆け巡る地球人の話を耳にした。
見た目では天人は敵だと認識されても仕方ない、と言うことで二人でこっそり噂の本人を見に行った。

紫「なんだ、俺らと同じくらいじゃねぇのか」

由羅「すげぇな、俺らイキリ散らかしてたけど乱猫の力をもってしても苦戦してんのに」

紫「はァ゛!?苦戦なんかしてねぇわ!」

由羅「ちょっ、声でけぇって!」


なんとなく見たしその場を離れるか、と思ったらその子供に大人が近づいた。
仏頂面してたくせにその大人の顔を見るとパッと顔上げ走って寄って行く。

由羅「いいな、こんな場所でも拠り所があるのとねぇなとで違うわな」

紫「んや、でもあの銀髪の他にも髪長ェやつとか紫(ムラサキ)の髪したやつとかいんぞ」

由羅「孤児院...か?」

紫「さあ?」



ーーーーー


由羅「この時初めに見たのがお前で、後は後々知ったけど高杉とか桂とか...」

銀「だから俺のこと知ってたのか」


まぁ、全然それだけじゃないんだけど。という言葉を飲み込み次の話題へ持ち出した。



ーーーーー


由羅「っ、離せ!クソが!」

紫「さわんじゃねぇ!」


二人で天人に反乱を起こしていたのがついに上にばれ、自分よりも何倍もの体格の天人達に囲まれて二人は捕まった。

抵抗するものの基地には帰れない、戦場で隠れて大人の天人を殺し続けていた由羅と紫は疲労がピークに達していることもあり、ものの数分で捕まってしまった。


なにか強い衝撃を頭に感じ、そのまま意識を失った。

次に目を覚ますと体は何本もの拘束惧で体を固定されていた。
チラ、と視線だけを動かせる状態で横を見ると紫も同じ状態で拘束されていた。
まだ目は覚めていないらしい。

まだぼんやりとする意識の中で突然全身に痛みが走った。

由羅「ン゛、ンン゛ン゛!!!!」


全身が燃え上がるような痛みにのたうちまわりそうになるが、それを許してはくれない。
口にも何かをはめられているらしい。






次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ