□刀の混じる、音が鳴る。
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こびりついた血の臭い



夢主「………」

戦場。

銀「思い出すな、昔を。」

夢主「…だね。銀時、」

既に異臭が放たれているそこ。

まだ静かな夜だけど、きっと路地裏なんかは死体が転がりはじめてるだろう。

月は私たちを照らすかのように赤黒く見え
た。

否、月が照らしてるのはあちら側なのか


夢主「…、なんか…悲しい」

銀「あぁ、…」

夢主「ずっと守ってきた場所…いつか来るって分かってたけど…勝てるのかな」

銀「勝てる、さ」

夢主「守ろうね、皆で」


と、笑うと銀時も悲しそうな顔で笑った。


夢主「…来たみたいね、ぞろぞろと」


背後から聞こえる二十人程の足音。
そして、殺気。


銀「おーおー揃いも揃ってどうしたんですかぁ?なんぱですか?そんな強面じゃあ皆さんにげちまうぞ?」

「こんな静かな夜にどうしたんだいアンちゃん、ネエチャン?」

汚い笑みを浮かべる男達。

夢主「獣の臭いがしていてもたってもいられなくなったのよ」

「こりゃあ素敵な乱交パーティーになりそうだなァ!!」

血走った目でいいはなった野郎に、獣の血が騒ぐ。

人を守る剣、――――

なんて綺麗事を並べてみたけれど、やはり人を斬るのは、


なんと楽しい事か。

獣の血からは、逃げても逃げても逃げ切れるモノではない。

夢主「楽しい事になりそうじゃないの…、宜しく頼むわよ?叔父様方?」

「げははは!!野郎共ッ!かかれ!」

一人のリーダーらしき奴が、命令をすると「うおおお!」と斬りかかってくる。

夢主「銀時、雑魚は任せて。多分まだまだ人はいるから」

銀「馬鹿言ってんな」

夢主「…は?」

銀「女一人、ましてや自分の惚れてる女を戦場に置いていけるかよ」

夢主「…」

顔を見上げると、ニコリと笑ってみせた。

…少し、どこかで安心できた気がした。

夢主「…ありがと」

銀「おうよ、行くぞッ!!」

それからは、あまり時間はたたなかった。
お互いがお互いを信じ、自分だけを考えれる戦場であった。

無論、傷一つない。


「ぐあああ!!」

肉の斬れる音。

「がっ…!!」

血の吹き出る音。


人を殺す事よりも、

悲鳴を聞く事よりも、

断末魔を耳にする事よりも、

自分の手で命が消えていく事よりも、



見え隠れする笑みを隠す事が、一番に辛かった。








(私も所詮、裏切り者。)






(こびりついた血は、今もまだ―――)


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