すかほそ
□エピローグ
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ただ答えを探して、そっと目を閉じてみる。
幼すぎた俺の言葉と、君の・・・・・・
***
「細谷。俺と別れてくれんね?」
「・・・え?」
千歳が言った言葉に、俺はかすれた声を出した。
「今、千歳、なんて」
「別れてち言うたばい。」
嘘だ。
嘘だ嘘だ。どうして。
千歳との関係は、俺の見る夢から始まった。
俺の夢の中に出てくる千歳と、付き合って数ヶ月。
最初はあやうやだったけれども、
俺は確実に、同性で、しかも二次元の人物である千歳を好きになっていた。
それなのに。
好きと言ってきたのは千歳の方なのに。
「本当に、別れるの…?」
「うん。本気ばい。」
「どうして・・・」
「細谷が、俺んこつ好きになりすぎたから、かね。」
なんだそれ。
意味がわからない。
「なんだよそれ…」
「細谷が俺んこつ好きになったけん、
細谷、起きてても夢の中に執着するばい。
俺は嬉しかばってん、細谷が現実で生きるのに困難になってしまうけん。
俺は、そんなん嫌ばい。
細谷には、しっかり「細谷佳正」として生きていてほしか。
俺のせいで細谷が駄目になるなら、俺から退くばい。」
なんだそれ。
黙って聞いていれば勝手な事ばかり。
「たしかに、俺は千歳が大好きだよ。
大好きで・・・愛してる。
なんで、千歳に執着しちゃいけないの?
もう、離したくない。大事なものだから。」
息が詰まりそうだ。
大事なものなんだ。
失くしたくない。
「細谷。」
千歳がとびきり優しい声で俺を呼ぶ。
「嫌いになったわけじゃなかよ。」
それを聞いて、体が固まった。
ただただ、なにもできず、
ただただ、
ただただ・・・・・・・・・・・・
言い残された台詞に、泣きながら目覚めた。