青学

□touch!
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「だ〜れだっ!?」


視界が真っ暗にされる。

誰かが俺の目を眼鏡ごと隠している状態だと察した。

誰だと聞くその声はどこからどう聞いても菊丸なのだが。

「・・・不二。」
「あ、ばれちゃったか。残念。」

察した通りの犯人だった。

「え〜!手塚つまんな〜い!
 どうして不二だってわかったのさ!」

どうしてもなにも、不二しか思い浮かばなかった。
頬を膨らませる菊丸になんて言うか考えながら、ふと不二を見た。

不二は、顎に手を当て微笑んでいた。






どうにもこうにも、不二のボディータッチが多い。


なにかとあれば触ってくる。
だから先程も、不二だと、いや、不二しか思い浮かばなかったのだ。


「手塚って良い筋肉してるよね。」

部室に二人きりだと不二はいつも以上に触る。


「ボクも鍛えてるのに、ここまで腕太くならないし、羨ましいなぁ。」

もう慣れたその行為にため息をつく。

「不二はそういう体質だからな。
 重いものをつけてゆっくり動くと太い筋肉がつくとよく言うが。」
「うん・・・。やってるんだけどなぁ・・・。
 あ、もうこんな時間。
 手塚、教室行こう?」
「ああ・・・」

自然に握られた右手を取られて、部室のかぎを閉めたのち、
仕方なく、手をつないだまま校舎へ帰った。



どうしてこんなにも触ってくるのか。
しかも、俺限定で。


なにをしていても、不二のことが気になる。
気になるというか、不二に会ってしまうのか。


「やぁ、手塚。」

「やあ、元気かい?」

「どうしたんだよ手塚。そんな年相応の顔して。」


クラスが違うのに、部活以外で会う機会が多い。

「手寒そう。」

そう言って、また俺の手を握る。


「あっためてあげるよ。」


何を考えているかわからないその微笑みに、

本当に不二しか考えられなくなってしまった。
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