青学

□約束
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「さてと。
ボクと君が付き合うとして、
うまい付き合いができないと、ボクは思う。
だから、ふたりの約束を作ることを
ボクらのルールにしようと思います!」

自分たち以外いない図書室で、不二からそう言われて、たしか3回ほど瞬きをした。


正直、付き合うというのも大分流れだ。

顔を真っ赤にした不二が、俺に告白をして

自分もそういう感情がない場合、返事をしてはいけないと思った。

その俺の気持ちに気付いたのか、
不二は今度、顔を真っ青にして

「もう手塚の近くにいないようにする。」

と言ったから。

俺はそれは嫌だと、
返事をした。

「付き合おう。」

不二はまた顔を赤くして
その日は何も言わず、下を向いて帰っていた。


それで、大嵐で昨日学校が休校になり、
今日、またなにげなく誰もいない図書館であったわけだが。

「手塚はルールだけ守ってくれればいいよ。
それ以外はなにもしなくていいから。」

そう言って不二はまたいつものように微笑んだ。

一昨日の真っ赤だったり、真っ青だったりという不二が別人に感じられる。

「で、約束とは?」

「んー、まず一回目の約束は…
明日、ボクと一緒に帰ること!」

「明日?
明日なのか?今日ではなく。
それに、明日はおそらく委員会が忙しくて部活に行けない。」

「うん、明日。
明日でいいんだよ。
楽しみは明日くらいがいい。
それに、あえて部活に来れない日を狙ってるんだよ。
校門で待ち合わせしよう。
ボク部活終わったら待ってるから。」

「よし、わかった。
では明日だな。」

「うん!」


ルールを守ってくれさえすればいいといわれたが
不二に提案されたルールが、まだひとつしかない。

それでいいのだろうか?

付き合うということは、もっといろいろな事を決めておかないと、通じ合えなくなるのでは?

俺の勝手な考えだが、そのひとつのルールも、約束も、守るのは容易いと思った。






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