四天宝寺

□Don't leave me !
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※Cure the conditionの続きの話です。





「お前もうホンマどっか行けや!」

「いやばい」



なんでそないにこにこして答えんねん!
もうホンマ調子狂ってまうねん!


「あああああ
完璧---パーフェクト---
な俺がどうしてこんなもじゃもじゃにぃぃぃぃ」





それでも好きという気持ちはとめられない。

もう本当にどこかに行ってくれたら
こんなに調子を狂されることもないのに。







なんて、嘘だ。







「オサムちゃん、千歳が一週間くらい学校来てへんねんけど!」
「ん?千歳ならあと1週間は病院に集中的に通うから来おへんで?」

「…え?」


なん、


なんなん?


「そんなん俺聞いてへん…」
「ホンマかぁ。
いや、部長になら言うとる思っとったわぁ。」










なんや。



なんや、気ぃ抜けた。






病院に集中して通うって、
そんな2週間も必要なん?

ただ単に学校サボりたいだけなんとちゃうの?

…いや、でも千歳、俺と付き合い始めてからそんなサボってなかったし…。



『白石。そげん怖か顔しとったら、いいこと逃げったい。』


「大きなお世話や!って、ん?」


千歳の声が聞こえた気がして、返事をしたが、
実際、そこに千歳はいなかった。


あー、なんかもう。



なんて情けない世界なんだ。



道を歩いて、猫がいても
季節外れのタンポポが咲いていても

千歳がいなければ、ただの日常だった。


こんな短期間でこんなに変えられてしまった。



「なんや白石。食欲ないんか?」
「ん?あ、まあ。謙也俺の食う?」
「ホンマ?じゃあもらう。」

昼休み、どうも食欲がない。

「なんやアレやな。
白石千歳とちょいもめてるみたいな時期あったやん。
あの時も白石食欲なかったやんな。」

「……。」

おいちょお待ってや。


千歳は俺の生命にかかわるっていうのか。



「白石ー。白石ー?」


もはや謙也が俺を呼ぶ声さえ耳に入らなくなっていた。






そんな次の日の朝。

のうのうとヤツはあらわれた。


「白石、おはよ。
久しぶりたいねぇ。
あ、俺保健室の先生んところば行ってくるけん、朝練出られなか。
よろしくね、部長さん。」

なん、
なん、
なん!?


次の瞬間、毒手チョップが
千歳のもさもさの頭にお見舞いされていた。

「ばっ!?
なんねそん、え?
ほんにそれ毒手とや?
信じられないくらい硬かったとよ!?
え?ええ!?」
「うっさいわ!
さっさと歩けのろま!!」

そして、俺はさりげなく千歳の手をひく。


久しぶりの肌の感触に、少し、ホンマに少し、ときめいてしまった。

千歳はまだ毒手チョップについて
「筋肉だとしても信じられなか…」
「無我のどっかの境地ばい…」
とかぶつぶつ言っている。



ああ、千歳だ。



「おい千歳!」
「は、はい!」

「お前、俺と約束せや。」
「なんでしょうか?」

千歳はいきなりガチガチになる。


「千歳。これから学校休んで俺に会えんくなる時は、俺んちまで俺に会いに来ること!」


「……は?」

「返事!」

「え、でも、白石いつも俺にあっち行けとか何とか…」

「え、ええねん!
んなこと忘れろや!返事!!」


10秒くらいおろおろしてから、
いつもの、ちょっと意地悪な顔の千歳になって
「了解」と答えられた。


畜生、俺、こいつんこと…


「白石は俺んこつほんに好いとうねー」



好……ん?




「あほ!俺やなくて
お前が俺んこと好きなんやろ!!」

「あー、はいはい。」

「はいは1回…って、否定せいや!
そういうのもハズいねん!もう!!」



一緒にいてもいなくても
こんなに調子を乱される。
最悪や!


…でも、
一緒にいてもいなくても調子を乱されるなら、

絶対、俺から離れたら許さへんからな!!





fin



拍手でおなじみだったツンデレ白石です。
さんざん千歳に消えろとかいなくなれとか言ってるのに
いざ本当にいなくなったらさみしくてどうにかなりそうな白石。
千歳…幸せにしてやってくれ…。

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