四天宝寺

□逆転
1ページ/1ページ

千歳。今日お前に彼女ができる夢を見たよ。
夢の中の俺はボロ泣きしてて、
現実でも泣いてたよ。



千歳。今日お前の彼女を殺す夢を見たよ。
撲殺してやったよ。
鼻血も痣も酷くて、とてもお前の彼女にはふさわしくなかったよ。



千歳。俺今日入院する夢見たよ。
なんでやろ?
家族はめっちゃ泣きそうな顔で…
いや、謙也と千歳もおった。
ふたりとも泣きそうな顔やった。
なんでやろな?
俺は普通なんに。



ふふ、千歳。
お前はいつも優しい顔で俺の話聞いてくれるな。
大好きやで千歳。
お前のそういうとこ、全部。

でも、なぁ、なんで?

なんでお前はなんも喋ってくれへんの?


ああ、やめてや。
誰や、俺の体を揺すぶるのは。


ああ、やめてや。



ヤメテヤ。


アア、ヤメテ。








アッチへツレモ……





「白石!」








愛しい愛しい千歳が、
俺の顔を覗き込んでいた。


「千歳?どないしたん?」

「謙也、白石起きよったばい!」
「ホンマか!?白石んち連絡してくる!!」


ああ、こっちは嘘の世界。

全部全部嘘。


「千歳?」
「なん、白石。」

「…彼女、死んだ?」
「……死んだよ。」

「なんで俺入院しとんの?」
「ちょっとね…。」


さっきの優しい笑顔の千歳の面影がない。
でも、こっちが本物の千歳?


「千歳大好き。千歳。」

大好き千歳。
愛してる。

「うん、白石。ありがと、でもね…」
「千歳しかいらない。千歳しかいらない。」


千歳の指を掴む。
そしてそれを自分の口へ運ぶ。

千歳の指をしゃぶりながらまた眠気が襲ってくる。


「白石?白石!?」

千歳の声が遠くなる。


「そっちいったらいかん!白石!!!」











「白石。」















また千歳の優しい声が俺を呼ぶ。

ああ、千歳。

今そっち行くで。







fin


ヤンデレ白石くん増量キャンペーン。
これだけだとまったく何が起きてるかわからないので、
謙也君に解説していただきましょう。



110820




[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ