四天宝寺

□I'm so in love with you
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「土曜から夏休みでも、
毎週通り部活あるんじゃ夏休み入った気せえへんよな。」

なぜか、土曜の朝、
俺と謙也さんは一緒に登校していた。


「謙也さん。」
「ん?」
「坂田先輩の告白、断ったんやて?」
「…んー、まぁ。」
「そうですよね。あんなヤツ謙也さんの好みとちゃいますもんね。」
「なっ、自分あんなヤツ良い呼ばわりする必要はないと思うで!?」



謙也さんが怒ってる。


ねえ、謙也さん。
俺、決めたんやで?

聞いて。






今の関係に戻れなくなっても良いから。





このままあんたに思いを重ねるのは、あまりにも辛いから。





「謙也さん。俺ね、
本当はずっと、謙也さんのこと好きやったんや。」


「え?」


謙也さんに向かってではなく、青い空を眺めながら言った。

「好きって…?」

「恋愛感情として。

先輩、受け取ってくれます?」




謙也さんに、というよりは、
空に告白するように。





空が、青くて。





鳥は飛んでるし。





大阪の空は狭いけど、
それでもやっぱり広くて高くて。

この告白が消えてしまいそうやった。






俺、


謙也さんが……





「好きやで。」



落ち着いた声が聞こえた。
謙也さんの声やった。


謙也さんの声がいつもよりずっと落ち着いて聞こえた。

「光。ちょい止まって。」


止まれと言われたから止まった。

そして、謙也さんに両手を掴まれ、向き合う。


謙也さんの目はまっすぐで、
忍足謙也を今実感した気がした。




「光。
俺は財前光が好きです。
俺を好きならどうか、付き合うてください。」







なんで敬語やねん。
なんで財前光ってフルネームなん。


なんでやねん。


アカン、笑ってまう。



「ひ、光!?そこ笑うとこちゃうやろ!!
ってかなんで笑うとるん!?なあ!?ちょっと!??」



「ええですよ。
ってか、俺からもお願いします。
俺、謙也さんが好きです。
付きおうて。」



それを言ってから、笑いが涙へ移る。


泣くつもりじゃなかったんに。



「せやから、俺だけ好きでいてな?
謙也さん、浮気したらあきませんよ?
そしたら殺すからな。
男同士やからって…拒まんでな?
お願いやから…謙也さん……」



謙也さんが俺の頭をなでる。

畜生、年上だと思って…。



「謙也さん。好きです。」


「うん。俺も好き。」









それからいろいろな事を話した。

謙也さんの告白を聞いていたこととか、
何回も泣いたとか、
坂田先輩への返事も聞いていたとか。



謙也さんが、いちいち笑う。

とても愛しいものを見る目で。


それがどうしようもなく幸せで、
俺はどうしたらええんやろ?









かなわないと思っていた片思いが、叶ってよかった。


絶対に曲げられなかった、この気持ちをもう一度、
謙也さんに聞こえないように空にささやいた。








「*****」





fin







お疲れ様でした。

財前誕生日企画終了でございます。
私もいろいろ忙しくて、なかなか筆が進みませんでしたが、なんとか終わりました。
どうせ両想いになるんだろとか思ってくれていたあなたは大正解です。
誕生日に不幸になんかさせません。
まぁ、誕生日に思いが伝わqりあったわけではないんですけど。

原案はクリスタル・ケイの「こんなに近くで…」
まぁ、有名ですね。

結構ぐだぐだしてしまいましたが、
最後まで読んでいただきありがとうございました。

光誕生日おめでとう!!
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