四天宝寺
□腐女子の壁
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千歳千里は気づいていた。
腐女子の視線に。
「謙也と白石君いつも一緒におるやん?
めっちゃ萌えへん?」
「わかるー!
やっぱあのふたりガチホモなんやない?」
「絶対そうやて〜!
じゃあ、どっちが攻め?」
「え〜、謙也が受けやろ?」
「せやな、あはははははは。」
「なんでそうなっと!?
白石は俺のばい!
大体にして、謙也も財前と付き合っとうし。
まったく頭ん中どげんなっとっと!?」
誰もいない場所で愚痴を吐く。
だって、誰かの目に、
自分の恋人が、誰かの恋人にみえるなんて。
「白石…俺ん恋人ばい…。」
財前光は気づいていた。
腐女子の視線に。
「謙也が受けってことは蔵謙?」
「せやな、あ、2年の財前クンや。
よくうちのクラス来るよね。」
「あ!蔵謙←光なんちゃう!?」
「もういややわ自分。」
「あはははははははは。」
「攻め!ヤツは攻めやっちゅうねん!!
なんやねん俺片思いみたいになっとったし!
キモッ!マジあり得へんわ!」
千歳千里
だから、 は思ったのだ。
財前光
ちとくら
『奴らに って言わせたる…!」
謙光
******
休み時間。
3年2組の扉をガラリと勢い良くあけて入ってきた隣のクラスの生徒と2年生。
「謙也さん、遊びに来てやりましたよ?」
「蔵、俺がいなくてさびしくなかったと?」
「は!?え、ひ、ひかるっ」
「なん、自分、今蔵って…。」
謙也、白石は一気に赤面状態に入った。
財前は謙也の机に座って、後ろを向く、色気のポーズで話しかける。
「俺んこと、考えてたんとちゃいますの?」
「な、なんでわかって…。
はっ!アカン、光。ここは学校なんやで!?」
一方、千歳もしゃがみ、座っている白石に顔を近くして話す。
「いかん?蔵の友達はみんな蔵ち言うよるばい。
特に俺は、白石の」
「あ、あかんあかん!!それはここで言うたらアカン!
ここは従来や!そ、その、今は、アカン…。」
千歳があまりに強すぎる雄オーラを出すので、
白石はもごもごと口を押さえてしまう。
一方、その雄オーラに若干あてられた、3−2の腐女子達の反応はというと。
「なあ、なんや、白石君かわいくなっとらん?」
「ちゅうか、千歳クン!いつもちょっとしか見てへんかったけど、完璧攻めやん!
千歳クンがおると白石君受けにみえるわ!」
「ちゃう!受けにみえるんとちゃう!
千歳クン今にも白石君食べようとしとるで!
白石君も食われたい顔しとる!
あれは…あれは…」
『ちとくらや!!!!!!』
その腐女子達があまりにも大きな声で「ちとくら」と叫ぶので、
クラスの生徒たちは彼女らをむく。
彼女たちは、そんなこと気にする余裕がないのだが。
ちとくらという単語を聞きとった千歳はにやりと顔を緩めた。
「白石は俺のやけんね…。」
「え?え?千歳、今日どないしたん?」
「ちとくら?え?なに?え?」
「謙也さん、俺、せっかく来たりましたのに、
俺んこと相手してくれへんの?」
「せやから、学校やて…」
顔が近い。
このままキスでもしそうだ。
謙也も財前も頬を染めているので、まんざらでもない。
唇まで数センチのところで、奴らの声が聞こえる。
「あかん!財前クンと謙也キスしてまうで!?」
「愛しあっとる!間違いあらへん!
しかも、あの財前クンの濡れた瞳!
あれは…あれは…」
『謙光や!!!!!!」
またも謎の単語の叫び声にクラスの生徒たちがそちらを向く。
「やりましたね、謙也さん。」
財前がパッと顔を離した。」
「え?え?」
「謙也さん、ん?あのままキスしたかったん?
するわけあらへんやろ。ここは学校やで?」
財前が意味深な事を言った瞬間にチャイムが鳴った。
「ほな、謙也さん。またあとで。」
「蔵、またね。」
ポカンとしている謙也、白石を置いて2人はさっさと教室を出ていった。
2人が教室を出る際に、また腐女子の声が聞こえる。
「謙光萌え〜!」
「ちとくら萌え〜!」
してやったり、
2人は満面の笑みで書く教室に帰った。
fin
このネタがやりたかった。
千歳も財前もこんなのほっとけないと思うんですよ。
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