四天宝寺
□千歳に誕生日を伝え隊計画
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今日は4月11日。
さて、千歳にどうやって俺の誕生日を教えればいいのか?
「普通にいえばええやん。」
「あかんな、謙也。
今このタイミングで言うっちゅうことはプレゼントねだってみるみたいなもんやで?」
ある意味間違ってもいないようには思えるけれども、
俺は物ではなく言葉が欲しい。
もっと言うと心が欲しい。
最終的に千歳が欲しい。
「アタックやな・・・」
とりあえず放課後の部活の時に、
千歳の誕生日がいつかを聞くことにした。
・・・12月31日生まれなんてこと、知っているが。
***
「なあ千歳。」
靴ひもを結んでいた彼は俺を見上げてきた。
立つと俺より背高いくせに、こんなときに下から見つめられるなんて、
それだけで胸がおかしくなりそうだ。
「千歳って誕生日いつなん?」
「誕生日?12月31日。」
即答されてしまった。
「なんや、まだまだ先やなぁ。」
「そやね。まだ14になったばっかばい。」
靴ひもを結び終えて立ち上がられる。
「なんや、俺より年下なんやな。
背はお前の方が高いんに。」
これがポイントや。
「年下」みたいな同い年のくせにどっちが先に生まれたかっていう言葉を出すことによって、
千歳は聞きたなるはずや、俺の誕生日を!
「へえ〜。白石の方がお兄さんやったとね〜。
たしかにみんなのお兄さんばい。
お兄ちゃんゆうよりかは、お母さんにごたるね。」
「オカンか。よう言われるわ。」
「白石みたいなお母さんよかね。
ん〜、白石みたいな彼女?・・・は迷惑かけそうであんまり好かんけど・・・。」
「え?」
「ちーとせー!わいと試合してや〜〜〜!」
遠くでゴンタクレが呼ぶ声がした。
「あー、金ちゃん。ちと待っときなっせ。
すまんね、白石。またね。」
「あ、うん、金ちゃん甘やかしすぎんといてや・・・。」
彼女にたとえられた。
彼女、つまりは恋人・・・。
俺、ふられてしもた?
好かんっていわれてもた・・・。
ああ、白石蔵ノ介明日の運命は自分にもわからず・・・。
「おお、白石〜〜〜!」
またまた遠くから自分を呼ぶ声が聞こえ、その声の主はすぐに俺のもとへやってきた。
「謙也・・・」
「どやった?うまく千歳に伝えられたん?」
「・・・・・・・・・あ。」
すっかり忘れていた。
「忘れたんか・・・」
謙也が泣きそうな顔をする。