四天宝寺

□千歳に誕生日を伝え隊計画
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はたり。



突然思った。




千歳は、俺の誕生日知ってるんやろか?





今日は4月10日。

俺の誕生日は4月14日。




「白石もうすぐで15やなぁ。
 俺なんてついこの間14になったばっかやで。」

そう、謙也は流石に知っている。

「なぁ、千歳って俺の誕生日知ってると思うか?」
「千歳?知らんやろ。そんな付き合い長ないし、部活仲間やろ。
 お前にとってはそうじゃないかもしれんけど。」
「そうや。」

そうなのだ。

千歳千里は昨年の冬にうちの四天宝寺入学校に転入してきた。

俺が部長を務める男子テニス部に入部。


獅子楽中にいて、全国大会で見たことはあったが、後ろ姿や遠目で。しっかりはみていなく。

冬休みに彼と改めてきちんと会い、


どんぴしゃり。


俺は千歳に恋をしたのだ。



「なあ、好きな奴に誕生日祝ってもらえるとか最高やんなぁ。」
「せやな。」
「なんや?冷たいで、謙也。」
「んなことあらへん。」
「この恋心どないしてくれんねん。」
「知らんわ!」

前の席に座って後ろを向いて喋っていた謙也は、俺の机をバシンと思い切り叩いた。

「痛いッ!」

ひとりで忙しくしている謙也を、今度は自分が冷たい目で見る。
その冷たい目に気づいた謙也はキッと睨んできた。

「毎日毎日、千歳千歳千歳千歳千歳千歳千歳・・・・・・・・・・。
 お前それ千歳病やで!
 なんや!千歳病って!?」

自分で言っておいて自分に突っ込む謙也はとりあえず無視。

「千歳病なんて嬉しいわぁ。
 千歳おると俺が完璧でおらなアカンっちゅうプレッシャーにもなるし。
 千歳病万歳やな。」
「ああああああああ!
 俺は親友がこないになるん見たない!
 一方的な恋バナ聞かされる身になれや!」

千歳病(仮)の一番の被害者であるのはおそらく謙也だろう。

千歳への思いを心の中だけにするなんて、
そんなのいつか爆発してしまう。

その思いを逃がす先が謙也だ。


「千歳・・・。
 俺、千歳に「誕生日おめでとう」って言われたいなぁ。」
「自分、オトメンやんなぁ・・・。」
「どうにかして千歳に俺の誕生日教えたいなぁ・・・。」
「人の話聞いてへんのやなぁ・・・。」

なにか聞こえた気がしたが、心の中はそれでいっぱいだった。




こうして、俺の

「千歳に誕生日をつたえ隊」

計画は始まったのだった。
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