四天宝寺

□耳かき
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「白石!」

「ん?」


長身の男がその見た目に合わない、
子供がするような笑みを浮かべて近寄ってくる。

「さっきスーパーでト●ロの耳かきば発見したばい!」
「へぇー」
「白石、横になりなっせ。」
「ん?俺が耳かきされるん?」
「うん。自分でやってもトトロの耳かき使ってる意味なか。」

さぁさぁと千歳は横になる事を促す。

「痛かったら後が怖いで?」
「大丈夫ばい。実家でミユキの耳かきばよくしてたけん、耳かきぐらいたいしたことなかよ。」

千歳があまりに得意げに話すので
仕方なく、横になった。

いっそのこと膝枕でもさせてやろうと思って
正座の千歳の膝に頭を乗せてやった。
…でもやっぱりテニスプレーヤーで、男の膝だけあって、硬かった。

「ふふ、白石猫みたい。」
「…ゴロ」

千歳の周りには、よおノら猫が来るかんなぁ。

でも考えたら。その猫たちは、俺以上に千歳と遊んで、千歳にこんなことをしてもらっているんじゃないのか?

そう思ったら、少々イラついた。

千歳は俺のなんに。
猫にとられるなんて。

猫に嫉妬する男。
なんやそれ。笑えるわ。

「んー…白石耳きれかね。」
「当たり前や。いつもきちんと耳掃除しとるんやからな!」
「んー…」

そう言いながらも千歳は耳かきで耳の中をくすぐる。

「あっ…」
「?」
自分でするのとは違って、気持ちが良くて、思わず声が出てしまった。


明らかに変な声。



「き…気持ちよかったと…?」

流石の千歳も引いている。
俺も俺自身に引いてしまうが。

「……。」

もう一回耳をくすぐられると、体から力が抜
けた。

「はぁ…」
「ふふふ、むぞらしか。」

変な声は全力で抑えたいけど、予想以上に気持ちよくてどうしようもない。

「ほんに猫さんみたいやね。こんなに力ば抜いて。」

抜けてしまうのだから仕方がない。

「でも本当にきれかね。あんまり意味ばなかったたい。」
「ひゃうっ…!」

仕上げと言うように耳に息を吹き込まれる。
とりあえず言葉には表せない感覚に体が震える。

「もう片方は?」
「…必要ないわ、あほ。」
「んー、つまらなかー」

口をとがらせて子犬のように目をシュンとさせた。

だから、その身長でそんな事されても。


「じゃあ必要ばあるときは言いなっせ?」
「おん。」

しばらくト●ロの耳かきは隠しておこうと思う。



fin



サイト立ちあげて最初の拍手文でした。
結構読みにくい部分があったのでそちらも修正。。。
ちなみに毎日耳の掃除をしていると言っている白石ですが、
耳掃除のしすぎはよくないみたいですよ。
ほどほどに。

20110410

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