四天宝寺

□春の訪れ
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「今日一日で大分咲いたばいね。」

千歳が人の家の庭に植えてある白梅を見てそう言った。

「せやなぁ。今日めっちゃあったかかったもんなぁ。」
「卒業式ももうすぐばい。」
「・・・せやなぁ。」


千歳がどこの高校を受験するのか、聞いていなかった。

聞くのが怖かった。

もし、九州の学校を受験すると言ったら、
千歳は九州に帰ると言っているのと同じだから。

いつ聞こう。いつ聞こうとしているあいだに勝手に時間は過ぎて行って、
そんな春の訪れに気づく暇がなかった。

「白石。俺引っ越すばい。」
「え?」

聞けないまま受験が終わり、いきなり千歳から告げられた言葉。

「俺、大阪の高校に受かったばい。
 やけん、今の寮に入れなかよ。
 白石んちからバスで15分くらいたい。」

そういう意味だったのか。

千歳は、
学校は違えど、大阪にいる。

春が来ても。

すくなくとも、まだ3年間は一緒にいられる。


「そういや、お前、引越し大丈夫なん?手伝いに行こうか?」
「ん?あー、大丈夫ばい。もともと家具すくなかよ。ひとりで十分ばい。」
「・・・たしかに。」
「あ、でもわたすもんばあると。」
そう言って、千歳はポケットから銀色の個体を取りだした。

「合鍵。」

「は?」

「やけん、合鍵ばい。新しいアパートの。
 いつでも来なっせ。」

合鍵を渡されてしまった。
・・・ポケットに入っていたからか、千歳の体温で鍵が温かくなっている。

「しゃーないわ。いつでも押しかけたるで。」

千歳はそれを聞いて嬉しそうに笑った。

「あ、今度はもっと部屋広いけん。白石の物もっとおけっとよ。」

それから、


「2人暮らしみたいになるたいね。」

と微笑まれた。

その千歳の後ろには、桜のつぼみがあって、
もう春が来たんだなぁと、思った。

fin.

え?
何が書きたかったんだかまったくわからない。

しかもこれ3月の地震前にちょっと書いて、
今終わらせたから話がgdgdです。

20110402

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