四天宝寺
□恋の格言
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チュッ
と瞼にキスをされて起きた。
「んん…。あれ?千歳?なんでここにいるん?」
「そりゃ、俺の家たい。当前やけんね。」
千歳の…家?
ああ、俺昨日千歳んち泊まったんやったな。
「ほら、早く起きなっせ。」
「……千歳。」
「どげんしたとや?白石。」
「グリル・パルツァーって知ってるか?」
「……誰と?」
「恋の格言をした、オーストリアの劇作家なんやけど。その格言で言うと、今
のキス、おかしくてな。」
「なにがおかしか?」
「とりあえず、格言はこんなんや。
---手の上なら尊敬のキス。
額の上なら友情のキス。
頬の上なら厚情のキス。
唇の上なら愛情のキス。
閉じた目の上なら憧憬のキス。
手のひらの上なら懇願のキス。
腕と首なら欲望のキス。
・・・それ以外は皆狂気の沙汰。
ん?千歳?」
「なんか、恥ずかしかね。キスキスって言われんの。」
「そ、そうなん?
で、千歳がさっきしたキスは、瞼の上だから憧憬のキスやろ?
お前なんか俺に憧れとる事あるん?」
「憧れとるこつ?
うん…わからんばいね。
でも、やっぱりあるかもしれんたい。
白石が頑張り屋さんなとことか尊敬しとーし。」
そう言って、千歳は微笑んだ。
ああ、千歳が微笑む時の目は優しい。
「それにしても、いろんな意味のキスがあるばいね。」
「せやなー。」
「じゃあこれからは、感情をキスで表現させてもらうばい。」
それから千歳はもう一度俺を寝かし、上から被さるような体勢で、
唇と腕と首にキスをした。
愛情と欲望。
欲望?
「待ちいや千歳!今からはアカン!朝練遅れるやろ!!」
「じゃあ朝練終わった後の30分休みばいね。」
「……。」
髪を撫でられ、頬にキスをされる。
厚情のキス。
「白石がいつまでも幸せでいられるようにたい。」
そう言って着替えだした千歳の背中を見て、俺は小さく笑った。
fin
初めて書いたちとくらを修正してみました。
おお・・・方言慣れしてなかったんだな・・・。
今でも完璧かと聞かれれば否定しますが!
あ、日付のかっこは原案書いた日です。
110219(010905)