四天宝寺

□恋の格言
1ページ/1ページ




チュッ




と瞼にキスをされて起きた。


「んん…。あれ?千歳?なんでここにいるん?」
「そりゃ、俺の家たい。当前やけんね。」

千歳の…家?

ああ、俺昨日千歳んち泊まったんやったな。

「ほら、早く起きなっせ。」
「……千歳。」
「どげんしたとや?白石。」

「グリル・パルツァーって知ってるか?」

「……誰と?」

「恋の格言をした、オーストリアの劇作家なんやけど。その格言で言うと、今
のキス、おかしくてな。」
「なにがおかしか?」
「とりあえず、格言はこんなんや。


---手の上なら尊敬のキス。


額の上なら友情のキス。


頬の上なら厚情のキス。


唇の上なら愛情のキス。


閉じた目の上なら憧憬のキス。


手のひらの上なら懇願のキス。


腕と首なら欲望のキス。


・・・それ以外は皆狂気の沙汰。

ん?千歳?」
「なんか、恥ずかしかね。キスキスって言われんの。」
「そ、そうなん?
で、千歳がさっきしたキスは、瞼の上だから憧憬のキスやろ?
お前なんか俺に憧れとる事あるん?」
「憧れとるこつ?
うん…わからんばいね。
でも、やっぱりあるかもしれんたい。
白石が頑張り屋さんなとことか尊敬しとーし。」

そう言って、千歳は微笑んだ。
ああ、千歳が微笑む時の目は優しい。

「それにしても、いろんな意味のキスがあるばいね。」
「せやなー。」
「じゃあこれからは、感情をキスで表現させてもらうばい。」
それから千歳はもう一度俺を寝かし、上から被さるような体勢で、
唇と腕と首にキスをした。


愛情と欲望。



欲望?


「待ちいや千歳!今からはアカン!朝練遅れるやろ!!」
「じゃあ朝練終わった後の30分休みばいね。」
「……。」
髪を撫でられ、頬にキスをされる。
厚情のキス。

「白石がいつまでも幸せでいられるようにたい。」

そう言って着替えだした千歳の背中を見て、俺は小さく笑った。




fin



初めて書いたちとくらを修正してみました。
おお・・・方言慣れしてなかったんだな・・・。
今でも完璧かと聞かれれば否定しますが!
あ、日付のかっこは原案書いた日です。

110219(010905)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ