四天宝寺

□優しい人
2ページ/4ページ


付き合う前から謙也さんの家によく行ってた。

この時から、既に謙也さんの「裏」は見え隠れしてた。



「あれ?イグアナ小さくなってません?」

「ん?んー、実はこの前死んでもうてなぁ…。
この子はスピーディーちゃん8代目や!」

「えっ、え!?
イグアナそんな買ってたんですか?」

最初はそこまでイグアナが好きか。

と思って、その話題は終わった。



「イグアナの顔、この前とちょい違いません?」

「ん?あー、実はこの前死んでもうてなぁ…。
この子はスピーディーちゃん10代目や!」

「えっ、えっ、え!?
この前8代目って言うて…」
「8代目スピーディーちゃんはちょいちょい前に死んでもうたんや……。
謙也君かなしいで…。
裏庭にちゃんとお墓あんねん…。」

「へえ…そうなんや…。
イグアナって、そんな寿命短いんすね。
もう飼わなきゃええのに…。」

「そう!
そうなんやけど、
こう、家にいてほしいんや。
抱きかかえた時のこの重み!!
この重みはどうしても…」

だってまだ半年もたたない。

半年どころか…。

そんなんだったら、1年後とか何代目になっとんねん。

ギャグか。


このとき、10代目のイグアナの片目が瞬きしていないことに気がつかなかった。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ