上下左右の対称
□四話
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「すみません、作兵衛も混乱してるだけだから…許してやってください。」
三之助が申し訳無さそうに俯いて話している。
日輪は少し泣きそうな声で冷静を装って言った。
「いえ、気にしてません!大丈夫…です。」
ふむ と三之助が考えているところに、左門が思いついたように言い出した。
「お前はどこから来たんだ?」
「えっと…日本の、私の家の蔵から…で
あっ多分…未来、です。」
「未来から!?」
目を見開いて驚く2人。
左門は身を乗り出して質問詰めし始めた。
三之助が左門の頭を抑えつけて口を止める。
「左門、落ち着けって。
まず匿える場所を探さないといけませんから…」
そう言った瞬間、日輪は三之助に担ぎ上げられた。
「きゃっ…?!」
「あぁ、大丈夫ですよ。
とりあえずココだと見つかった時に厄介なので、俺たちの部屋に移動しましょう。」
軽々と持ち上げられたまま、三人で蔵を出たのだった。
「…外、寒いですね。」
「そりゃあ、今は秋ですから。そういえば薄着ですけど、アッチの世界では夏だったんですか?」
日輪が少しさびしそうに返事をすると、左門が少し黙ってから返事をした。
「戻れるさ、絶対に。戻してやる。」
グッと拳を強く握った。