上下左右の対称

□一話
1ページ/1ページ


夏休みに入った終業式の日。

左門と三之助と一緒に帰り道を歩いている所だった。

「さくべー!コッチだ!!」

「馬鹿やろう、アッチだって何度言わせるんだよ!!」

俺がが左門の首根っこを掴むと次は三之助が違う方向に行き、追いかける事になった。

「三之助ぇええ!!待てぇぇえええ!!」

「コッチな気がする。」

「気だけだ!!」

「わかった、これは鬼ごっこだな!」

「違うだろうが!!」

そんな会話をしてたら突然三之助が止まったからドミノ式にぶつかった。
三之助の見ている方向へ向くと神社か寺があった。

「こんなとこに寺なんてあったんだー…」

「よし、入ってみるぞ!!」

何を考え出すんだ左門は

止めようと思った矢先に二人は入りだし、仕方なく自分も寺に入ることになった。

「結構デカい」

三之助の奴呑気な事言って…。イライラケージがあったら今は80%になっていると思う。

「おい、帰るぞ!土地主に見つかったらどうすんだよ!!」

二人の腕を掴んでぐいっと引っ張った瞬間―。


「富松…くん?と神崎くんに次屋くん。」


目の前には見たことのある人…あ、同じクラスの

「日輪!!お前の家だったのか?!」

…左門と被った。でも悔しくなんかないからな。

「家じゃなくて所有地だと思うけど…。どうしてこんな所にいるの?」

ごもっともだと思う。

少しムッとした表情をして歓迎されてないようだし早く帰ろう。

「日輪の所有地か!
ならこの中案内してくれ!!この寺広くてよく分からないんだ!!」

左門のバカァァアアァアア!!
日輪とは教室でも話さない奴だぞ。
しかも怒ってるかもしれないっていうのに!!

「―つまらないと思うけど、いいよ」

「イエーイ。」

「やったぞ!!」

日輪、本当にありがとう。




「この寺は誰か来たりするのか?」

「ここ神社だし…。
室町の忍者のお墓祀ってるだけだから殆ど誰も来ないよ。」

へー…神社だったんだ。

「忍者…ねぇ。」

「昔この近くに学校があって、話によると忍者の学校だったんだって。
忍者って誰知れずに死んじゃうからそこの学校の長がお悔やみに建てたって話。」

随分詳しいから日輪はこの神社を継ぐのかな。
そんな事を考えた

「日輪〜俺、あん中が気になる」

三之助が指差した方を見ると一軒家分くらいの大きな蔵があった。

「三之助!流石にそれは駄目だろうが!
悪かったな日輪、俺らはもう帰るからってさもぉぉおおおん!!」

真っ直ぐに左門が蔵に向かって走っていった。
こういう時の左門の判断力の早さには脱帽する。




「―暗いなぁ まだ空が明るいから若干見えるけど…」

目を細める三之助に対しどんどん進んでいく左門。

そんななかでふと日輪を見るとどことなく嬉しそうに笑ってた。
きっと暗い中窓際にいて逆光でそう見えたんだ と心の中で決め込んだ。

「日輪!これはなんだ?」

見てみると布が被さった身長よりも少し大きめの物があった。

「なんじゃこりゃ、鏡か」

三之助が布をめくると隅にひびや曇りがある鏡が出てきた。

「多分昔の鏡だと…思う。綺麗に映らないね。」

布を全部剥がした鏡には日輪しか映らなかった。
でもどこか違和感がある。

「これ…日輪じゃ、ないんじゃないか?」

だって顔は同じだけど、動きや格好が違う…っ

流石に不気味に思った日輪は鏡に手を当てた。
次に向こう側の日輪も少しズレて手を合わせた。

その時に

日輪は反転した
…違う

こっちの日輪は向こうに
向こうの日輪はこっちに

入れ替わったのだった。


 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ