忍たま短編集

□…そう
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うとうと、と。睡魔が私を襲う。

でも抵抗する気はなく、ゆっくりゆっくり瞼が重くなっていく。

体がベッドと接着剤でくっついたように動かない。


そんな時にバンッと部屋のドアが開く。

「兵ちゃん。」

目は閉じているが、分かる。

ノックくらいはして欲しいが、最近ではもう慣れてしまった。

兵ちゃんが部屋に来たからには、ぐっすり眠ってはいられない。

睡魔を追い払って、ベッドとの接着剤を剥がす。

兵ちゃんがドサッと鞄を下ろしたので、中から数学のノートを取る。
兵ちゃんのノートは見易いから、私は大好きなのだ。

隣では、我が物顔で私のオーディオにCDを入れる兵ちゃんがいた。

「何?」

「三治郎に貸してもらったやつ。聞く?」

ん、と返事を聞くと、オーディオに差していたヘッドホンをしまった。

テンポの早い、ギターソロが流れる。

私は音楽は嫌いじゃないが、うまく分からない。
そういうときは兵ちゃんに聞くのだが、今日は音楽を聞いていたかった。

兵ちゃんも、私が眠いのを分かっているのか短い言葉を理解してくれる。

「三ちゃん、好きだっけ?」

「あんまり。
三ちゃんの彼女の影響が強いみたい。」

だよね。
三ちゃんはどっちかというと、軽音より吹奏楽派だし。

ノートを鞄に戻すと、兵ちゃんが積み重なっている音楽雑誌に手を伸ばすのを見た。


それから無言が20分くらい続くと、またまた睡魔が再来し、眠気に負けてしまう。






「…名前?」

名前を呼ばれ薄く瞼を開けると、兵ちゃんがベッドに座っていた。
ふわっ、と髪を撫でられる。

「あ、起こした?」

「…いいよ、大丈夫。」

そう言って小さく笑うと、兵ちゃんが額にキスをする。

「ん。兵ちゃん、くすぐったいよ。」

そんな事言うと、兵ちゃんは口元を僅かにあげる。

こうなると、兵ちゃんの目には私しか映らなくなり、止めれなくなるのだ。


次には一緒に寝転がって、0距離になる。

「名前。」

小さく目をあけて、上目に兵ちゃんを見る。

「好き。」

返事をしようとしたら、口が遮られてしまった。

結果的に、私の目にも兵ちゃんしか映らなくなるのだ。







兵ちゃんが好きです。きっと忍たまで一番好きなのは兵ちゃんです。
なのに長編では出番がなさそうなので、短編で出しゃばってもらいます。
ありがとうございました!


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