口論

□口論
1ページ/4ページ

娼婦みたいに、忙しなく喘いだ。
いつもは聞く方なんだけど、今夜は出す方。
あのとき抱いた娼婦のように、愛のない悦びを、だらしなく延々と。

『もう少し優しくしてよ』

そんな台詞も、途切れ途切れで、蚊のなくようにしかでなくて。
どうしても自分の下品な喘ぎばかりが、暗い狭い部屋で響いていた。

『ねぇ、痛いってば』

あ、また無視した。
愛してないんだよね。知ってるよ。心配しないで、私も愛してないから。
中身空っぽすっからかん。
互いに中身なんて求めてない。
娼婦みたいに滅茶苦茶にされていく。

貴方が愛してないと言うのなら、私も貴方を愛していないと言おう。
そういわないと、私はとても悔しくて、仕方なくなるから。
だから愛してくれなくても、いい。


嗚呼、こうなったらお金請求してやろう。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ