御読ミ物

□忘れない
2ページ/13ページ

(翔語り)

6年生になった俺は、今までに増してサッカーに専念していた。


「セリエAに行ってやる!」


これが俺の口癖だったんだ。



ところが、俺の夢は脆くも崩れ去った。




「・・骨肉種ですね。」



医師から言われた一言は、
小学生の俺の頭で理解できる内容ではなく、
後から父に聞いて分かった。


ひざに異物感を感じた。
それだけだったのに、病名が付いていた。


骨肉種、というのは
骨にできるおできみたいなもんだ、と父は言った。

手術をすれば治るものだ。


医師もそう言った。



「手術なんて、怖くもなんともねぇもん」


そう強がって入院した俺は
ぶっちゃけめちゃめちゃ不安だったわけで。



手術で足がなくなっちゃったらどうしよう、
とか
サッカーできなくなったらどうしよう、
とか

言われても無いことを勝手に想像しては
不安がって泣いていた。


「っく・・こえぇよぉ・・ぅっ・・」



相室の同じ年代の奴らに気付かれないように
俺は毎晩泣いていた。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ