御読ミ物
□migawari*gurumi
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最近、翔ちゃんに会えてない。
レギュラー番組は局の都合でまとめ撮りしたし、年末の誌上トークも大体済んでしまった。
「はぁー…」
ため息の出る日曜の午後。
生憎の雨で釣りもできそうにないし、翔ちゃんは単独で雑誌撮影だ。
「何して遊ぼうかなあー……」
誰にともなく、そんなことを呟いたその時。
―バタンッ―
いきなり、玄関のドアが開いた音がした。
この部屋の合鍵は、翔ちゃんしか持っていない。
おいらは急いで玄関へと向かった。
「しょ、翔ちゃん!?どったの!?」
そこにいたのは、びしょ濡れで肩で息をついている翔ちゃんだった。
翔「さ…はぁッ……ん、智…」
かなりの距離を走ってきたみたいだ。
智「風邪引いちゃうっ!どうしたの、撮影は…?」
おいらは近くにあったタオルを手渡しながら言った。
翔「撮影中だよ…ふぅ…企画で…コレ…借り物競争……」
そういって翔ちゃんはポケットからクシャクシャになった小さな紙を取り出した。
おいらはそれを受け取り、ゆっくり広げる。
智「『大好きなもの』…翔ちゃん…」
すごく、
すごく嬉しかった。
付き合って3年たつけれど、
今まで翔ちゃんからのストレートな告白って、
あんまり聞いたことがなかったからね。