機械仕掛けの乙女

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 特に事件とかもなく、安全かつ迅速に終わってくれた入学式。今日は買い物でも行こうかなー。なんて適当なことを考えていた。

 なのに…なんで私がここに…?


「アンタさー中学の時は張間の腰巾着だったクセしてさぁ、学級委員に立候補したんだって? マジウケんですけどぉー」


 どうやら性格最悪なイジメっ子に捕まったらしい。ちなみに帝人くんのクラスメイト兼女子学級委員なんだとか。

『…ちょっと行ってくるね』

「え、あの、日向さん!?」

「ちょっオイヒナ!?」

 なんか無性にイラッとして性格最悪女子(仮)に抗議してやろうかと思って、私は隠れていた路地裏から通りに出ようとした。

 その時、私はもちろん帝人くんや正臣は気づいていなかった。

 イジメっ子よりもタチが悪い池袋最狂の情報屋が近づいていたことに。

 それは唐突だった。

 ソイツは日向を追いかけようとした帝人の肩にポンと手を置いた。


「へぇイジメやめさせに行くんだ。偉いね」


『「「!!」」』

 黒髪で赤い瞳を湛えた情報屋――折原臨也は
帝人の肩をイジメっ子たちの方へと押した。

「ちょッちょっと――ぅわぁ!?」

「イジメ、かっこ悪い」

「は、はぁ?」

 いきなり出てきて何を言い出すんだ、と言いたげに眉を顰める少女たち。

「オッサンに関係ねぇだろ! 失せろよ!」

「そう、関係ない」

 だが臨也は気にも留めず、淡々と持論のみを語り続ける。

「人間って希薄だよねぇ。まだ23歳の俺をオッサンと呼ぼうが、君たちと俺の無関係は永遠なんだし、さ」

 状況についていけない帝人と杏里、女子高生たちは首を傾げるが、日向と正臣は沈黙を守り続ける。
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