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□花とワルツ
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「こーてい。」


「やめろ。」


「校庭。」


「俺をグラウンドにするな。」



皇帝。

弦一郎はいつからかそう呼ばれるようになって。

わたしは弦一郎と呼べなくなって。

気づいているかな。
いや、世界一鈍感な弦一郎だ。気づいてる訳がない。



「ねえ、こーてい。」


「・・・。」


「ねえってば。」


「・・・。」


・・・皇帝ペンギンのくせに。
無視なんていい度胸・・・
「高橋。」


「え、」


体温が、アガル。

久しぶり・・・いや、何年ぶりに呼ばれただろう。

でも・・・前は名前で呼んでくれたのに。


「高橋。」


「・・・なに?」


「俺のわがままと思って、黙って聞いてくれ。」


「?」


「まず、俺のことは以前のように名前で呼べ。」


「・・・。」


「それと、どうせ家が隣なのだ。一緒に帰ってくれ。」


「・・・。」


「あと・・・。」


「うん?」


「・・・あと、昔のように、たまには俺の家に遊びにでも来たらどうだ?」


「・・・弦一郎?」


帽子が邪魔で顔が見えない。
だけど、真っ赤になったその耳で十分だ。


「な!なぜ泣く!」


「だって弦一郎ばっかずるいって。・・・わたしのことも、名前で呼んでよ。」


「ああ、すまん。」


「あと、一緒に帰りたいなんて前から思ってた。」


「ああ、すまん。」


「あと・・・ちゃんと気持ちを言ってよ。」


「ああ、」





好きだ。

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