連載2
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さよなら、現実
(最終話)
corruption.14
結婚の相手は幸村くんといって、柳くんと同じテニス部の部長さんだった。
彼はとても優しくて、わたしにはもったいないくらいの綺麗な人。
でも逆にこれくらいカッコイイ人と結婚しないと、わたしは柳くんに依存したままになってしまいそうで怖かった。
だからきっとよかった気がする。
(コンコン)
「はい。」
「小夜子ちゃん、準備できた?」
「あ、幸村くん。とっくに出来てるよ。」
「へえー・・・綺麗だよ。」
「幸村くんもジョニデみたいでカッコイイよ。」
「・・・。ああ、それより蓮二に会った?」
「ううん。まだ。」
「会って来なよ。・・・きっと、―――」
「え?なに?」
「いや、何でもない。とにかくいってきな。」
「うん・・・。」
わたしは言われるがまま柳くんに会いに行った。
「あ、柳くん。」
「小夜子・・・綺麗だな。」
「え、何を企んでるんですか?」
「馬鹿か。素直にほめてやっただけだ。」
「あーはい。すいません。」
「・・・それじゃあ、さよならだ。」
「うん。元気で・・・うえ!?」
突然視界がひっくり返ったと思いきや、お姫様抱っこをされていた。
ちなみに柳くんにだ。
(あら?わかってた?)
「(んなー!あなた最後の最後まで何考えてんのー!)」
←もはや声にならない
「と、言う事だ精市。テニスも何もかもお前に負ける訳にはいかない。」
柳くんが見つめる先にはいつのまにか幸村くんがいた。
ワオ。
「恨むならこいつを恨め、精市。」
「なんでじゃー!」
わたしがツッコむと同時に柳くんはわたしを抱えたまま走り出した。
は?は?
「ちょー!」
「あら?精市くん。小夜子は?」
「・・・いきましたよ。蓮二と二人で。」
「・・・そう。行ったの。」
「ほんとによかったんですか?貴女は。」
「・・・わからないわ。でも、お腹を痛めて産んだ子供達よ。あの子達には、幸せになって欲しい。・・・とかねえ!わたしもまだまだ考えてることが若いわ!」
「(・・・親子だ。)」
「・・・重い。降りろ。」
「つくづくムカつきますね!あなたは!」
その頃私たちはまだ式場の前の道路にいた。
「・・・小夜子は、ほんとにこれでいいのか?」
「柳くんが無理矢理連れて来たくせによく言いますね。・・・でも、私はこれがいい。幸村くんには悪いけど、わたしはやっぱり柳くんが好き!」
「ああ、ちなみに幸村は全部知ってる。」
「(空気読めええ。わたし今大胆に告白したばかりなんですが。)」
「ふ、そんな顔するな花嫁。」
「柳くんがさせたんじゃん!」
「「あのー。」」
「何!・・・って、お母さんに幸村くん!」
「ほんと仲がいいこと。」
「ほんとだよ。ほら、早く式場に入って。今日は君達の式だよ?」
うえ?
まさか・・・
「これも・・・わたしだけ知らなかったの?」
「「「もちろん」」」
んなー!
もうこの人達は何なんだ。
「ほら、小夜子。行くぞ。」
「うぅ、もう!行ってやるわよ!」
そう言って、四人でまた来た道を歩いて行った。
(さよなら、さよなら、君がいたら何もいらない)