連載2
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幸せって、きっとこんなことじゃない?
corruption.13
あれから数年。
わたしは記憶が完全に戻ってしまった。
いや、戻った。
今はもちろん柳家に住んでいる。
初め、久しぶりの我が家はなんだか不思議な感じだった。
でもお母さんの温もりとかお父さんの優しさとか、今までからっぽだったわたしの中は少しずつ幸せで埋まって来た気がする。
・・・これでよかった。
これでよかったとは思ってる。
「小夜子。」
「・・・お兄ちゃん。」
この複雑な気持ち意外は。
「お前のブラジャーまだ乾いていなかったから取り込まなかったぞ。ああ、だがパンツはそこにたたんでおいたから片付けろ。」
・・・こいつ。
「だあー!触るなー!」
「何を言っている。せっかくたたんでやったのにお礼の言葉もないのか。」
「おおおお前こそ何言ってんの!つか顔笑ってんじゃん!」
「知らないな。お前の反応がおもしろいからなど知らないな。」
「だあー!触るなー!」
ええ、ええ、わかってますとも。こんな複雑な気持ちでいるのはわたしだけですよね。
あーもう。
「それより荷物はもうまとめたのか?」
「あーうん。もう万全だよ。」
「・・・そうか。」
ねえ。
わたしだけなんでしょう?こんな気持ちは。だからそんな顔しないでよ。
「幸せに、なれよ。」
「・・・うん。」
「明日の結婚式、楽しみにしてる。」
(それは本音?)