連載2
□7
1ページ/1ページ
何を後ろに隠しているの?
corruption.6
森野小夜子とテニス部の柳蓮二くんが付き合ってるんだって!
・・・はい。
わたしですが?
その場でたむろしていた女生徒らは顔色を変えて逃げて行った。
当たり前か。
「おはよう、森野。」
「・・・おはよう。」
「噂は順調に広まっているみたいだな。」
お前か。
「一応確認しておくけど、わたし、本気じゃないからね?」
そう、これはいわゆる社会科見学のようなもの。
これからわたしが総理大臣になるにあたって、なるべく多くの人生経験は必要なのだ。
わかってくれ。
・・・って、昨日告白後に言ったんだけど、普通引くところでしょう?これ。
柳くんはあっさり、
「かまわない。」
だってさ。
あーもう、なんで君はそんなにしぶいんですか?
「・・・ところでさ、柳くんさ、わたしのことほんとに好きなの?」
「ああ。」
「ほんとに?」
「ああ。」
「どうして?」
キーンコーンカーンコーン――・・・
チャイムにうまく遮られて返事を聞けなかった。
でも、
あの時一瞬だけ見せた柳くんの悲しそうな・・・悲壮感に満ちた顔が、まだ気になってしょうがない。
×