連載2
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は、凡人めっ。
corruption.4
弱すぎる。
あれだよ、ボコろうと思ってはりきって校舎裏連れてきたはいいけど、そのボコる予定だった相手のが強かった件。
「あなたたちって性格も悪ければ頭も悪いし、もはや長所ないですよね。」
・・・これは言い過ぎたか。
絶句していたから、無視して帰ってきた。
愉快、愉快。
トトト・・・
「おや?」
テニスボールだ。
きっと誰かのヘナチョコサーブがフェンスを越えたんだな。
「・・・うーん、返しに行きますか。」
ふぅ、
と一息ついて、わたしはテニスコートへ歩きだした。
「おお、すごい。」
初めてきたテニスコートはかなり広々とした感じ。
ん?屋内コート?
私立の恐ろしさを知った。
「森野?」
突然名前を呼ばれて振り返ると、そこには華奢な身体と白い素肌に似合わないテニスラケットを持った柳くんがいた。
「テニス部だったの?」
てっきり文化部かと。
「ああ。」
ラケットを軽く肩に乗せてみる柳くんは、意外にもさまになっていた。
「ところでお前は何部なんだ?」
「わたし?わたしはどこにも所属してないよ。ひとつのところに縛られるのはつまんないじゃん。」
「そんなこと出来たのか。」
「ふふ、天才の特権ってやつかなー。」
あ、
柳くんが笑った。
「やはりお前はおもしろいやつだな。」
「天才ですから。」
二人の間に笑いがこぼれた。
「ああ、それよりわたしテニスボール返しに・・・あ。」
柳くんの両手は荷物でふさがっていた。
仕方ない。
ここから投げてしまえ。
と、手を振り上げた途端。
「森野、俺と付き合ってみないか?」
「だっ!」
ボールはコートの中の黒いキャップをかぶっている人に落ちてしまった。
(迷走、瞑想。)