銀世界

□第9訓 桜の木の下には酔っ払いがいる
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お妙「ハーイ、お弁当ですよー」


と桜吹雪の下、漆塗りのお弁当箱を差し出す妙


銀時 「ワリーな、オイ

姉弟水入らずのとこ邪魔しちまって」

お妙 「いいのよ〜

二人で花見なんてしても寂しいもの

ねェ、新ちゃん?」


と振られ、頷く新八


お妙 「お父上が健在の頃は、よく三人桜の下でハジけたものだわ〜

さっ、お食べになって!」

銀時 「じゃ、遠慮なく…」


カパ

と開けて出てきたのは、真っ黒に焦げた、お馴染みの妙創作料理


銀時 「……」
神楽 「……」
鶯華 「……」



銀時 「なんですか、コレは?

アート?」

お妙 「私、卵焼きしか作れないの〜

花見なのに、卵焼きだけでごめんなさいね」


と、すまなそうな表情を作る妙


銀時 「いや、ごめんなさいっつーか…だから…“卵焼き”じゃねーだろコレは

“焼けた卵”だよ」

お妙 「卵が焼けていれば、それがどんな状態だろーと卵焼きよ」

鶯華 「確かに……」

銀時 「いや、違うよ、コレは

焼けた卵じゃなくて、かわいそうな卵だよ」


と尚も続ける


お妙 「いいから、男は黙って食えや!


とキレた妙は、ガパンと銀時の口にかわいそうな卵を押し込んだ


神楽 「これを食べないと私は死ぬんだ…

これを食べないと私は死ぬんだ…」


と唱えながら、口に入れる神楽


新八 「暗示かけてまで食わんでいいわ!」

鶯華 「土方スペシャルだって食べれたんだもの!

もしかしたらコレだって……」

新八 「いや、鶯華さんも無理しないで下さい!

僕のように眼が悪くなっちゃいますよ!」


と、天然のあまり、無謀な挑戦をしようとしている所を急いで止めに入る


近藤 「ガハハハ

まったく、しょーがない奴等だな

どれ、俺が食べてやるから、このタッパーに入れておきなさい」


とタッパーを差し出す近藤


お妙 「……何レギュラーみたいな顔で座ってんだゴリラァァァ!


と、即座に平手打ちで退席させる妙

さらに地面に転がった近藤の上に馬乗りになってボコボコに殴る


鶯華 「ああ!;」


と、そんな可哀相な様を嘆きながらも、鶯華は止めに入れずにオロオロしていた





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