銀世界
□第1訓 天然パーマに悪い奴はいない
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鶯華 「はぁ…なんでクリスマスイヴにバイトなんかしなきゃいけないのよ…」
と、白い息と共に愚痴が零れる
寒空の下、サンタのコスチュームを身に纏い、ケーキを店頭販売している様は、可愛くもあり、可哀相でもあった
そのバイトは本来鶯華のでは無い
それなのに、何故そのようなバイトをしているかというと、理由がある
ケーキ屋さんでバイトをしていた友達の優子から、急遽ヘルプを頼まれたのだ
優子 「ねぇ、悪いんだけど、ヘルプに入ってくれない?
今日、シフト入れてた子がサボって、人が足りないの!
イヴだから元々ギリギリの人数しか集まって無かったってのに・・・
あんたは仕事出来ないけど、可愛いから良い客寄せになるのよ!
イヴだからって皆に断られちゃったし……
もうあんたしかいないの!お願い!一生のお願い!バイト代弾むし!
ってか、彼氏持ちでイヴにバイト来れないんだったら、バイト入れんなし!
マジ、サボるとかありえないんですけど」
と、キレ気味の電話の余りの迫力に負け、OKと言ってしまった
その時は思ってても仕事出来ないとか言わないでよ!確かにノロくて使えないけどさ!
・・・ま、しょうがない。こんなに優子が頼んでるんだもん、一肌脱ぎますか!
と思っていた
本音を言うと、バイト代2倍で当日払いという待遇に引かれたわけなのだが
鶯華 「もー、このサンタコス、可愛いけど丈短すぎて寒いし!!私はJKかw」
などと愚痴を零さずにはやってられない位寒い
頼んできた友達はホール担当で、店頭販売しているのは鶯華一人
したがって、話し相手はいない
街はクリスマスで賑わっているのに、自分ときたら……
なんて、次第に気持ちが暗くなる
バイト、断れば良かったかな…
でも、周りにいる人達殆ど彼氏いるし、私が断ったら絶対誰も来る人いないなー
なんて、周りの事まで気にして頭を悩ましていた