秘執事
□第1話 その女中、邂逅
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ロンドンの夜道は暗い
そんな中を女性が一人で歩くのは危険極まりない事だ
案の定、フローレンスは数人の男達に声を掛けられた
それをスルリと無視して闊歩する
そんな様に見蕩れながらも、一人の男はプライドに傷がついたらしい
男 「てめー!可愛い顔してるからって調子乗んなよ!!」
と、お決まりのような台詞を吐いた
くるりと踵を返して見てみたら、その男はフローレンスと同じく人間ではなかった
なんで、天使が人間と一緒に……?
と考えていると、男が腕を掴んできた
天使 「俺を無視するなんざ、いい度胸してるな」
と、これまたよくある台詞
この人、ありきたりな事しか言えないのね;
というか、ご存知ありませんわ、貴方なんて
と言葉に出さずも、心の中で言ってみる
フローレンスは少しも怖がる事無く冷静なままなのだが、傍からは、襲われそうになって恐怖で声が出ないように見えたらしい
天使 「なんだ?
怖くて声が出ないってか?」
とニヤニヤと嫌らしく笑う
その様に呆れながらもフローレンスは眉をしかめた
さっさと飛んで逃げたい……
と思った時、男達の後ろから可愛くも凜とした少年の声がした
少年 「女性によってたかって、見苦しい事この上ないな」
男1 「なんだぁ?」
と言いながら振り返ると、この場に似つかわしくない貴族の少年の姿
男2 「坊ちゃんは家で糞して寝てな!」
男3 「そうだぜ
ヒーロー気取りなんかしてねぇで、痛い目見る前に帰んな!」
と小馬鹿にする男達
少年 「ふん……どうやらイタリアン・マフィアは、下品なヤツが多いらしいな」
と子供らしくない口ぶりで、少年は嘲笑を浮かべた