最遊記

□隣人A
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【隣人:2】



その日は朝から落ち着かなかった。
今日は悟浄と飲みに行くと約束した日。
待ち合わせの午後8時は2時間も前に過ぎていた。
それなのに別段慌てるわけでもなく、いまだに会社で急ぎでもない仕事に手をつけている。

先日偶然聴いてしまった悟浄と知らない男の情事。
その出来事が三蔵を約束から遠ざけていた。
あれ以来悟浄とは顔を合わせていない。

「どうせ行っても無駄だ…」

きっとあいつは来ない。

動揺に任せて閉めた窓が立てた派手な音は、きっと悟浄に自分の存在を知らせたはず。


ぐしゃりと、灰皿に幾分も吸っていない煙草を押し付ける。
まるで八つ当たりだと、カタカタ振動する灰皿を見て自嘲した。

胸に何か引っ掛かりを感じながら、三蔵は本日何本目かの煙草に火を着けた。
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