最遊記

□蜘蛛の巣
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うまくいった。


「三蔵が…好きだ…」
「…」

知ってる。
そうなるように仕向けたのは俺だからな。

「―――な、なんか言えよ…。気持ち悪いなら悪いって」
「俺もだ」

うるせぇな。
俺は3年も待ったんだ。
それに、焦らされるのは好きだろう?

「え……?」
「俺も、お前が好きだ」

嬉しいだろ?
お前の欲しがる言葉なんざ考えるまでもねぇ。

「う、そ……」
「嘘じゃねぇよ」

信じられねぇってか。
だろうな。
お前に気取られるなんてヘマ俺がするかよ。

「だっ、だって俺っ……ぜってぇ嫌われてると思っ…」
「そうか」

当然だ。
そういう態度を取り続けてたからな。
傷つけて傷つけて。
その方が俺を刻みこめると思ったからだ。
予定通り。お前は俺に堕ちた。

「そーだよ!無視はするわ睨みつけるわ…、疫病神扱いされて……っ」
「泣くなよ」

ほら、こんなにも。
ぐちゃぐちゃに踏みにじられたとしても、離れられないほど俺で頭がいっぱいだったんだろ。

「泣いてねぇよ!」
「何とでも言えるな」

俺は今笑いを噛み殺すのに必死なんだがな。
こうも上手く事が運ぶとは。

「ははっ………部屋が暗くてよかったわ…」
「悟浄」

泣き顔が拝めねぇのは残念だが、同感だ。
こんな顔を見られたら、全てが水の泡だ。

「ん?」

さぁ、最後の仕上だ。
この一言で、お前は完全に俺のものになる。






「愛してる」




逃がしはしない。


死ぬまでな。




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