最遊記

□嫉妬する男、気付けない男
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八戒と悟浄は仲が良い。
そりゃそうだ。
仲が良くなけりゃ三年も同居なんて出来ないだろう。
規則正しい生活の八戒と、自堕落な悟浄。
そんな二人が上手くやっていたのだ。


自分で言って腹が立ってきた。
悟浄の、俗に言う『恋人』は俺で。
心身共に繋がりがあると自負もしている。


だけど。


今日もまた、二人が何やら話している。

何となく楽しそうに見えるのは気のせいか。
俺に見せる顔とはまた違った表情をする悟浄に苛々した。
だいたい、男同士の友情にしちゃ親密過ぎないか?
普通あんなにベタベタ触るか?
言い出したらキリがないが言いたい。
心底ムカつく。


そんなことを悶々と考えていた時。

ガタン!!
「悟浄!!」

ワンセットで聞こえて来た派手な音と八戒の怒声。
珍しいと思いながら目を向ける。
やはり本気で怒っている八戒と、そんな八戒を呆けた顔で見つめる悟浄がいた。

「貴方は……っ!!」

続きを飲み込んで、八戒は部屋を後にした。

喧嘩か……?

相当怒っていた。あの八戒が。
悟浄はといえば、八戒が出て行った扉を、何とも言えない顔で見ていた。



「どうした?」

八戒との仲などどうでもいいが、悟浄のこんな顔は正直見たくない。

「ん?」
「珍しいな、喧嘩か?」
「……つーか…、今のは俺が悪かった、のかな…」

少し悲しげに笑う。
心臓に悪いから、そんな顔はしないでもらいたい。
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