短編集
□ここにくる理由
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『匡せーんぱいっ』
また来たか……
なんで俺について来るんだ、こいつは……
ここにくる理由
『匡先輩、今日はお菓子作ってきたの』
「それはいいけどお前、あいつが来る前に早く……あー……遅かった……」
ゆのはこっちをみてきょとん、としている
こいつ、風間が苦手な癖に…
「ほぅ。手づくりのクッキーか」
『っ!?』
いじめられるのがわかってて毎日生徒会室くるんだよな……
『か、風間さん……』
何がしたいんだか俺にはさっぱりだ……
「今日も俺の暇つぶしに……」
ニヤッと笑った風間に、ゆのはびくびくしながら俺の背中に隠れた
まったく……
こいつらは毎日おんなじことして楽しいのか……?
「と思ったが、今日は用事があるからな。もう行かなくては」
そういって風間は振り向きもせずに生徒会室を去っていった
『はぁ……よかったぁ……』
安心したのか、ゆのは胸に手を当てて床に膝をついた
「今日は運がよかったな、ゆの」
ゆのの持ってきたクッキーをつまみながら茶を啜った
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