短編集
□ある雪の日の物語
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『左之助様、どこへ行かれるんです?』
どこへ行くかも告げずに、結構な距離を歩いた
「んー、別に決めてねぇよ。散歩だよ、散歩!」
散歩、か……
彼は散歩が好きみたい
今までも何度かこのようなことがあって、いつも町を一周して帰る
いつも見ている町だけど、左之助様と歩いている時は違う町に来たみたいで、
私は大好きだった
「今日は冷えるな…風邪引くんじゃねぇぞ?」
左之助様は空を仰いだ
確か、雪が降るっておじさんはいってたな……
なんて考えると、真っ白い雪が空を舞いはじめた
「ん。右手」
不意に左之助様は、私に左手を差し出した
『え…?』
手を繋ぐ、ということだろうか…?
「さみぃだろ?右手だけでよかったら、俺があっためてやるよ」
駄目です、左之助様
手を繋いでしまったら、私のドキドキが、
貴方に伝わってしまいます……
→あとがき