50万hit企画部屋
□〜彼氏のお家編〜
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甘すぎる二人〜彼氏のお家編〜
※ルナ視点
衛高二、うさぎ中二で付き合いたて
「まーもちゃあん」
「んー」
「ねえってばー」
「うん」
思いっきり甘えた声を出すうさぎちゃんに本を読んでいる衛さんは殆んど生返事。そんなことが繰り返されて眠くなってきた私は欠伸と伸びを一つ。
あまりにそっけない反応の彼に痺れを切らしたのか、なんともうさぎちゃんらしい子供っぽい反撃に出た。
「ちょ、やめろうさこっ、はははっくすぐったいって」
「可愛い彼女を放っておくまもちゃんにお仕置きデス!それそれ〜♪」
お腹やわき腹辺りをくすぐるうさぎちゃんに笑いながら困った様子の衛さんは本を閉じてソファーに置いた。そして「やーめーろー」と言いながらうさぎちゃんの両頬をぷにっと摘まむ。そんな彼の攻撃に、「ひゃあっいひゃいまもひゃ〜んっ」と言う我が主の何とも間抜けな声がリビングに響く。
まあったく、何をしてるのかしらねこの二人は。というか、衛さんも結構コドモね。
やっぱり皆の前ではクールなスマートな彼もうさぎちゃんの前じゃただの高校生ってことかしら。
私は特にすることも無かったからやっぱり寝ようと思った矢先。
次に取った彼の行動は明らかに『子供』ではなかった。
ソファーの二人はいつの間にか衛さんがうさぎちゃんを押し倒している形になっていて、ふにっと頬を摘まんだままキスをしたのだ。
呆気に取られたうさぎちゃんの真っ赤な顔をクスッと笑った衛さんは手を離して今度は普通にキス。
………って、おいこらちょっと!!私!!いるんだけど!!??
見えない?見えてないのあんたたち!!!
そりゃ床上20cmの存在だけど一応月のお姫様の側近なのよ!?ただの喋る猫じゃないのよーーー!!??
けれど私の心の叫びも虚しく、恋人達のラブトークは続く。
「まもちゃん、わたしのこと、すき?」
「…好きじゃなきゃ、こんなことしないよ。」
私まで真っ赤になってしまうほどのあまーい二人の声。衛さんの顔をさっきの仕返しのように両手で挟んだうさぎちゃんは全然迫力無く睨んで言った。
「じゃあ、好きな女の子の横でずーーーっと本読んじゃうのはどうして?」
「…すみませんでした。」
「だめです。」
「えっ?」
「ごめんなさいのキスしてくれなきゃ許しません。」
「…それ、俺嬉しいだけなんだけど…?」
「え?…もおーっまもちゃんったら!」
うさぎちゃんは、彼女の顎をくいっと持った衛さんの頬をつんと指でつついた。
結局またキスをして笑い合う二人はほんっとーーに幸せそうで。漸く普通の恋人としての幸せを手にした二人に水を差すほど愚かじゃない私は、そっと部屋を出ることにした。
はあー………。甘すぎる。これ以上ここにいたら酸欠よ。血圧上がっちゃう。
「あれ?ルナ帰るの?」
予想外のうさぎちゃんの声にびくっとなる。
「そうだけど…」
「じゃあ私も帰ろっかな!」
「「え??」」
重なった声の主はもちろん衛さん。
「いーわよ!もうちょっとゆっくりしてきなさい。」
「そーお?大通り、大丈夫?」
「そこは通らないで帰るから平気!」
お願いうさぎちゃん!後ろで衛さんがものすっごいさびしそーーにあなたを見てるから!私悪者になっちゃうの嫌だから!!
「分かった。じゃ、またあとでね♪」
手をひらひらさせるうさぎちゃんに安堵する。さっきの表情とは打って変わって緩んだ顔になってる衛さんと目が合う。そしたら気まずそうに赤くして、咳払いなんかしちゃって。私はそんな彼に生温かーい眼差しを送っておいた。
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