50万hit企画部屋
□〜ネフまこ+その他w編〜
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「木野、もう観念するんだな。お前の旦那は絶対軟弱だ。お前の尻に敷かれて、男の俺から見れば惨めな野郎なんだよ。」
「んなことあるか会ったこともないくせに!!晃はなあ…っ」
立ち上がってぶち切れようとしたまことは途端にふらつく。
すぐにそれを背後から支えて抱きとめると。まことは声も上げずに驚き、タイマン相手の男が目を見開いた。
「いやあどうもどうも!まことの亭主の軟弱男です!」
「あきら…っ」
俺の言葉に若干の怒りをこもらせた瞳はそれでもいくらか安心したようにも見えた。
「よっし帰るぞ!」
「馬鹿言うな…!まだ…勝負が…っうぅっ…」
勝負というのは、おそらく俺の名誉を守るためのもの。男勝りで怪力で、高校のころは野郎に混ざって応援団に出るくらいの女だったからきっと結婚相手は弱っちい男なんだとかなんだとか馬鹿にされたのだろう。で、それが何でか飲み比べへと発展した。
真っ赤な顔をして悔しそうにしながらも完全に酔い潰れてしまったまことはそのまま眠りの世界へ。
そんな妻をひょいと横抱きにすると呆けたままの男に視線を送る。そしてテーブルに置かれた大量の空のグラスを見て溜め息を付いた。
「お前、さすがに女相手にここまでやることねーだろ。」
「そんなん、仕方ないだろ、木野が引き下がらねーんだから。」
あまり悪びれた様子もないその男に若干怒りも沸くが、俺に身を任せて安心して眠るまことの可愛い寝顔を見るとふっと気持ちもほぐれる。
「まあいいぜ。俺今すっげー幸せだから。」
「は?」
「このグラスの分だけまことが俺のこと愛してるってことだろ?」
にっと笑うと男は黙り、ばつが悪そうにジョッキを煽った。
「まあ、だけど…」
「?」
「今度うちの嫁に同じことしたら承知しねえ。分かったか?」
「…っ」
低い声でその男に聞こえるだけのつもりで囁いたはずだったが、その言葉に水を打ったように辺りが静かになる。
「てなわけでみなさん!まことがお騒がせして申し訳ありませんでした!とりあえず連れて帰るんで、残りの同窓会楽しんでくださいねー!」
いつもの笑顔に戻ってそう言えば、少し緩んだ気配になったその部屋を、俺はまことを抱えて出て行った。
「あ!あと私たちも帰るね!」
うさぎちゃんが美奈ちゃんと亜美ちゃんの腕を引いて挨拶すると、俄かに騒がしくなる。当然女の子たちも四人の帰りを惜しんできたが、男たちの酔った勢いの引き留める声は、俺が引き連れてきた友人たちに少なからず衝撃を落としていった。
「えー!3Aの可愛いメンバーみんな帰っちゃうのかよー!」
「二次会出てよ月野ー!俺ら寂しいよー」
「まだ水野さんがどこの病院勤めてるか聞いてないし!注射して欲しいのに〜!」
「愛野は女子の幹事だろっ樫野が困るじゃん!お前ら学級委員でベストカップルだっただろー!」
彼らから見えない位置にいた友人たちは再び黒く渦巻くオーラを背負いながら宴会部屋へと一歩を踏み出した。
あーあ。キミたちご愁傷様〜…
俺は元3Aの男たちに心の中で合掌し、そんな彼らを置き去りに店を出た。