短編C
□愛情パラメーター(ゾイ亜美)
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「…遅い。」
この私をこんなに待たせるなんて。まったく何考えてるのかしら。
ま、十中八九、いや、100%勉強のことなんでしょうけど。
亜美と待ち合わせした場合、絶対私が待つほうが多い。これじゃあ私だけが亜美に会いたくて仕方が無いみたいで癪じゃない。
溜め息をついて腕時計を見る。30分。30分も過ぎてる。数字を扱う能力に長けているからといって時間に正確というわけではないのだ。彼女は。
眉間に皺を寄せた私だが、その時はたととあることに気付く。
まさか、昨日家に来た亜美に帰り際に珍しくキスしたからだろうか。
自分と彼女は恋人だ。それくらいは一般的に言えば普通の行為だ。けれど。
キスした後真っ赤になった亜美はそのまま煙まで出てきそうなほど頭の中がパンクしているのが見て取れた。その様子を見てなんだか柄にも無くむらっとした私は―――
「帰したくないんだけど」
みたいな事を思わず言って。そしたら殆んど気絶寸前な彼女は泡でも噴きそうになりながら
「こっこっここここっ」
余りにも面白い顔だったからついからかいたくなってニヤリと笑った私は「ニワトリの真似なの?」なんて意地悪く一言。
「ちが…っ!!こ、困ります!!!」
「じゃあ分かった。また明日いつもの場所で待ってるから。」
「帰ります!!」
「12時よ?」
「失礼しました!!」
そして疾風の如く部屋から去っていた亜美。
もしかして、私の話、聞いてなかったんじゃ…??
もうホント、馬鹿じゃないの!!??
私は亜美の家に向かって走り出した。